終天に巡り逢うⅣ (ページ18)

今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:35,159 hit

１６７ページ18

なのに。

『ねぇ』

「なにー？」

何食わぬ顔で隣を歩くフェリドをじろりと睨み付ける。

『お構いなくって言ったよね』

「やだなぁ。お客様を放っておくわけないじゃないか！ここは日本だよ？おもてなしの国なんだよ？ウェルカムトゥージャパン！！あ、でも君は日本出身だからウェルカムバックかな？」

『うぜぇしどうでもいい』

「もぉ。そんな言葉遣いしちゃダメでしょう？」

『知るかよ』

「あっは。可愛いねぇ」

可愛いの基準が分からないんだけど。
と考えながら防音と幻術の術式を展開する。

『で？何の用だよフェリド・バートリー』

「だーかーら。案内を、」

『うざいって言ってるだろ。そういうのいいから』

「あはっ。そういうところ、そっくりだねぇ？」

『あんたのパートナーに？』

「ふふ。君はいったいどこまで知ってるんだい？」

探るような、蛇のような狡猾な真っ赤な瞳が私を見下ろす。

『さぁ？』

だが、主導権は握らせない。こいつにそれは渡さない。

『探ってみろよ。おまえ、それ得意だろ？』

挑発的に言う。

「あはぁ。可愛いねぇ。そう威嚇しないでよ」

『ならその減らず口をどうにかしたら？うざいよ』

「もぉ。お口が悪いなぁ？そういうとこ本当にそっくり！」

『ふーん』

「で。お兄さんに会いに来たの？」

『そうだけど』

と、言えばフェリドは少し意外そうにする。

「素直に言うね」

『逆に隠すことでもないし。兄さんとの繋がりを捨てたいから』

「ふぅん。かわいそうに。たった一人の家族から見捨てられちゃうんだ」

『…家族、ね』

そう呟いて、笑う。

『きっと私は、兄さんにとっては家族なんかじゃないよ』

「世界崩壊時に捨てられたから？」

『それより前からだよ。おまえは知ってるだろ』

フェリドもまた笑う。なんでも知っている彼に、それを隠しても無駄だ。それくらいの事実なんて、知られたところで何の損もないし。

『私は兄さんにとってはどうでもいい存在だった。疎ましい存在だった』

「お父さんもお母さんも殺したから？」

『そうだ』

「僕も大好きなパパとママを殺したけど、何も思わなかったなー」

『それはただのサイコパスだから一緒にしないで』

「えー。一緒でしょ？結果的には殺したんだもん」

それに肩を竦める。

『なんとも言えないな』

「あは」

『ていうかいつまでついて来んの。うざいんだけど』

「僕は楽しいよ？」

『くっそうざい』

「あははっ」

何が楽しいのか。