終天に巡り逢うⅣ (ページ17)

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ー地下都市サングィネム

『おお…』

これがかの有名なサングィネム。なんだか陰鬱としていて、ロシアの地下都市とは大違いだ。
なーんて言ったらクルルちゃんに睨まれるので言わないが。
くだらないことを考えながらウルド様について行き、聳え立つ大きな城の中に入っていく。

「…あら」

その先の大きな部屋に誂えられた豪奢な椅子に腰掛けていたクルルがウルドを見て私を見る。

「来たのねウルド。それに…A…だったかしら？」

『お久しぶりです、クルル様』

胸に手を当て軽く礼をする私を探るような視線で見てくる。

「どうやら貴女、ウルドの眷属になったようね」

『いやぁ、ははは』

「…愚かな選択だわ」

『あははは』

「貴様に関係あるのかクルル・ツェペシ」

「いいえ？その関係が長く続くといいわね」

クルルちゃん機嫌悪いなー。言葉に棘がある。ぐっさぐさ。
なんてふざけながら口を開く。

『兄』

「…」

僅かに細められる瞳。

『…に会いにきたんですよ。生きてると思いますか？』

「知らないわよ」

『ですよねぇ。でも生きてると思うんですよ。だって軍属なんです。そこそこ強いですし』

「…何が言いたいのかしら」

『ああいえいえ。今回の目的をお伝えしておこうかなと。だってほら、急に来られてクルル様も迷惑しているでしょうし』

「まったくだわ」

『あはは。すみません。ウルド様に我儘をきいてもらったんです』

「へぇ…ずいぶんと大切にしているのね、ウルド」

「だったら？」

「別に？勝手に恋愛ごっこでもしてればいいじゃない」

爆笑。クルルちゃんイライラが爆発してるじゃん。
かたや隣のウルド様もイラッとした空気を出したので彼の服の裾をくい、と軽く引っ張った。

「うわぁ、可愛い〜僕も袖くいして欲しいなぁ〜」

『…』

空気読めって。
ウルド様が嫌そうな空気を醸し出す。

『あ。今からウルド様たちは会議ですよね？私、サングィネムを散歩してきてもいいですか？』

…クルルちゃんがすっごい嫌そうな顔でこっち見てるんですけど。
感情豊かだねぇ？そんなに嫌そうにされるともっと行きたくなっちゃうじゃん。

「あまりはしゃぎすぎるなよ」

『はーい』

「じゃあ僕が案内を、」

『結構です。お構いなくどうぞ』

「えー。ツレないなぁ」

こいつと関わると碌なことがなさそうだし。というかそもそも関わりたくない。自分の中で拒否反応を起こしている。無理無理。

『ではウルド様。また後ほど』