終天に巡り逢う (ページ4)

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『うわー…』

目の前のどでかい屋敷というか最早城にしか見えないそれに思わず声を漏らす。
遠目から見たことはあるが、ここまで近付いたことはなかった。特に用も無かったし。というか近付いたら怒られそうだし。
何食わぬ顔で…いやまぁ自分の家だから当然だけど屋敷に入っていくウルド様の後ろについて中に入れば、中にいた吸血鬼がなんだこいつといった表情で私を見てくる。

うん、わかる。私もわからない。

「ウルド様。その人間は…」

「拾った」

いや拾ったって何？全然拾われてないよ？私は犬か猫なのかな？

と無表情で内心思っていると、横にいるルクさんが小さく吹き出した音が聞こえたが無視した。

「私のものだ。手を出すなよ」

「…かしこまりました」

胡乱げな声でそう返す吸血鬼は私を一瞥し、さして興味もなかったのかすぐに下がる。
が、その前にウルド様が呼び止めた。

「風呂を沸かせ。あと、こいつに見合う服を」

「…は」

『は？』

思わず素を出してしまう。

いやいやいやいや。なに？なに？風呂って何？服って何？この服でいいよ？動きやすいから！！お風呂は嬉しいけど！むしろ入りたいけど！！
と、心の中で叫んでいるとウルド様がこちらを見る。

「その小汚い格好を綺麗にしておけ」

『はぁ…？あ、はい』

解せぬ。潔癖かな？
フードを被った一般吸血鬼に連れて行かれながら、首を傾げた。

_______

______

お風呂最高。
久々のお風呂でぬくぬくした後、用意されていた服ーワンピースを手に取る。

『…やだなぁ。スカート嫌いなのに』

だが断る権利は私には無い。
溜め息を吐き、のそのそとそれを着終わると鏡を見る。
生成り色のシンプルなワンピース。だが首周りがガッツリ開いている。血を吸い易いようにだろうか。やだー。怖いよー。おにいちゃーん。

『…』

そもそも何故彼ーウルド・ギールスは私を屋敷に連れて来たのか。私の”匂い”に気付いたのか？それだと、正直面倒だ。アイツと関わりがあると思われる。とは言え、数回しか会ったことはないのだが。
ちょっと関わりのあるキ・ルクもきっと私のことをきな臭いと感じているのだろう。適当に監視しつつ、変な行動を起こせばサクッと殺せばいいと思っているのだろうか。

『…はーあ…考えるだけ無駄か…』

そう結論付け、目を瞑って息を吐く。吸う。そして、目蓋を上げる。

『さぁーてと。どうなることやら』

淡々と呟いて、部屋を出た。