【呪術廻戦】サヨナラ、そしてお還り。壱

第4話 ページ4

・



ざっと予定時間より少しのオーバーで
営業は幕を閉じた

手元に組み立てられたドーナツの入っている箱を
手に持ちつつ、トレイを返却口へと置けば、
″またお越し下さい″と声を掛けられ、
会釈で済ました

外に出ては、一息零す


…さて、このまま尾行されても、
困らないけど、気持ち悪さは増す一方だ

でも、結局は、
声をかけられなかった時点で、
僕に何も用はないのかもしれない


と言うより、面倒なだけ
ただ、それだけの話


晩ご飯は…
貰ったこの、ドーナツでいっか＿＿＿＿＿＿＿

とりあえず、帰ろう



1歩踏み出せば、視線は外れず、
それどころか、歩き続けても、
視線は勿論、着いてきているのが何処となくわかる


簡単に、撒けるものか…？
いや、やってみることに越したことは無い
自分の生活の安泰を脅かされてたまるものか

暗い路地へと入っては、死角へと隠れる
すると、変な奴らの1人が"消えちまった"なんて言葉を零した


「………いや、
呪霊、いるな」


その言葉に、思わず息を呑む
地面を蹴っては、急いで人集りへと、
表舞台へと静かに足を動かした


＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿あと、ちょっと…！


そう思った瞬間、目の前に立ち塞がった人影
息が止まる

脳裏に過(ﾖ)ぎった映像



…………捕まってやるもんか



大して、体を動かすなんて得意じゃないけど、
やってやるんだ


「え、」


「おいおい、マジかよ…」


後ろから追ってきたらしい変な奴も、
目の前の前髪が変な奴も、
驚いた


正直、僕も驚いている



壁に向かって飛んでは、片足で思い切り蹴っては、
前髪が変な奴を飛び越えたのだ


後ろで騒いでいるみたいだけど、それどころじゃない
狙われている理由がわからない

自分の息切れが頭の中を追いつめる
考えても考えても、追いつかれるんじゃないか…
捕まったら、何をされ、る………＿＿＿＿ｯ！


嫌な記憶が脳裏に浮かび、
エンジンが止まったように足が一気に覚束なくなった


僕を照らすオレンジ色の夕日


…そして、手の早いことに、
挟み撃ちにされる


A「質問、いいかな」


橋の欄干に手をついては、水平線の夕日を見た



A「何で、僕を追ってくるの」



「お前が保護対象だから」



A「そっか…」



＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿"ざまぁみろ"


欄干へと飛び乗っては夕日に背を向けた
突風と共に、自分の身体を後ろの方へと重心を傾け、
僕は、宙へと浮かんだ

第5話→←第3話*Suguru Side

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す