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聞き慣れた規則正しい靴音。
それに気づき、自然と力んでいた手が緩まった。
『…何してんだｧ、姉さん』と声を掛けてきたのは、
私の実の弟であり、マフィア幹部″中原中也″。
帽子を弄り、私を見据えては声を掛けたのだ。
まぁ、この状況を見れば、疑いたくもなるはずだ。私を中心とした周りには、
ボロボロの構成員が何人も居たから。でも、私の過失は5割もないはずだ。
あったら、断固抗議する。
掴んでいた構成員の服を手を離せば、崩れ落ちていった。
けれど、私に向けられた銃口は今にも吠えそうだ。
そりゃそうか。拠点の真ん前で戦闘をしてれば、
″敵″と見なされても可笑しくはない。まぁ、
善も悪もどちら側でもないのだけれど。
A「入ろうとしたら、銃口向けられた。ちゃんと、″身内に会いに来た″と
言った。けど、先に手を出してきたのは彼らだよ。一方的に、
殴ったような感じではあるけど、地面見ればわかるでしょ？
薬莢がたくさん転がってる。当たりかねないから、避けつつ、制圧してただけ。」
私が話すと、中也は周りの構成員を見て、
帽子を片手で取り外しては自身の胸へと持っていった。
中也「わりぃ、俺がちゃんと伝達しなかったせいで」
「な、中原幹部…！」
声を上げた構成員に中也は、『俺の姉さんだ、通すぞ』と残し、
取り外した帽子をまた被り直しては、私が持ってきていた旅行鞄を拾っては、
先導するように先を歩いた。
『お姉様に対して失礼なんじゃないの？』と言えば、
『数年間会ってなかっただけなのに、すっげぇ久しぶりだと思ってさ』と悲しそうに笑ったのだ。
…………、
A「うちの弟が、可愛すぎる。しんどっ」
頭を抱えると、何も返答がない為、
中也の顔を除けば、凄く険悪な表情をしたものだから、
思わず、口元を抑えた。
A「え、嫌そうな顔をしている中也も可愛いね…！」
皆さん、聞いてください。
うちの弟、可愛すぎませんか！！！？！
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作者名：松城美樹 | 作成日時：2022年5月29日 22時
