14*Chuya Side ページ14
休日を頂いたものの、行きたい場所もなく、
姉さんに聞けば、『特にないなぁ〜』なんて云う始末。
昨日の夜の件もあるし、姉さんも帰国してきたばかりだ。
少しでも姉さんには休んでもらいたいのはある。
電視機を点けて目を離さない姉さんにコーヒーを作って近くに置くと
『ありがと』と呟き、一口啜った。『あちちっ』と零した姉さんは、
咎める様子もなく、ただじっと目の前の画面に集中していた。
そんな姉さんを確認して、俺は新聞を開いた。情勢等載っているものの、
特にこれといっためぼしい記事は特にない。一通り目を通して、
畳んでいると『可愛いなぁ…』という言葉が耳を掠めた。
※電視機→テレビ
…………また、俺のことかｧ？
そう思って、姉さんの方へと視線を移すと俺の方へと投げた言葉ではないらしい。
電視機を見ると、底には小さい人鳥の姿が映されていた。
※人鳥→ペンギン
中也「…水族館行くか？」
A「んーん、中也が折角休みなんだもん。ゆっくりしなよ」
こっちを見ずに云われたものの、電視機からは目を離さなかった。………なんというか、
俺という弟を思ってくれるのは嬉しいが、自分のことに対しては無頓着というか。
あまり欲を出さないと思う、俺の姉さんは。
中也「姉さん」
A「んー？」
中也「俺、出掛けてェんだけどさ、
姉さんも一緒に来てほしいんだけど」
A「これ、見終わってからでいい？」
指をさしたのは、人鳥が映っていた電視機。
どうやら、水族館特集らしい。よくよく聞けば、あと十数分程で終わるらしい。
『行けるようになったら、声掛けてくれ』と伝えると、『んー』と返事がきた。
………さて、どんな洋服を着ていくか。
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作者名：松城美樹 | 作成日時：2022年5月29日 22時
