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扉を叩いては、取っ手を捻り開ける。
旅行鞄を引いては入れば、中に居た社員たちの注目の的となった。
A「あの、すみません」
『はい、どうされました』と前へ出てきたのは、"谷崎潤一郎"。
情報通りで、妹・"ナオミ"もくっついていた。
社員を見ると、見覚えのある顔ばかり。
ついこの間まで、懸賞金を賭けられていた人虎"中島敦"
予定の乱れが何よりも嫌う理想主義者"国木田独歩"
超人的な推理力を持ち、物事を冷静且つ合理的に見ている"江戸川乱歩"
物腰柔らかく小柄な"宮沢賢治"
探偵社の専属医"与謝野晶子"
元・ポートマフィア"泉鏡花"
そして、
相変わらず、包帯を身体に巻き付けている"太宰治"
社長………は、別室か。当たり前だよね。うん。
A「この住所のところに行きたいのですが、道に迷ってしまって…」
谷崎に住所の書いた一枚の紙を渡せば、首を傾けた。
谷崎「うーん、僕にはわからない場所ですね…」
渡した紙を受け取ろうとすれば、間に太宰が割り込んできた。
太宰「美しいッ!」
びっくりした谷崎がよろけているのをもろともせず、
私の両手を握ってはキラキラとした目で口にした。
太宰「まるで百合のように清楚で凛とした女性だ!
どうか私と___________」
『心中してください』と云い終わる間際、
国木田が太宰の襟を掴んでは投げ飛ばした。
太宰の言動に関しては、なんとなく予測はできたものの、
国木田の真逆の行動に思わず『…え?』と声を漏らしてしまった。
そんな私を観かねたのか、国木田は『すみません、どうかお気になさらず』と口にした。
国木田「谷崎、その紙を見せてくれないか?」
谷崎「はい、これです」
国木田へと回っていった紙。
人虎も覗き込んだものの、結果は一緒だった。
国木田「俺も大抵の場所はわかるが…」
紙を見つめていれば、太宰が横から紙を奪った。
紙を覗き見た太宰は、ただ一言。
太宰「…この場所、私知ってるよ?」
嗚呼、本当にこの太宰治という人間は。
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作者名:松城美樹 | 作成日時:2022年5月29日 22時