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#47 ページ47

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カラオケに行っても、



やっぱり私は歌わずに端っこで縮まっていた。



未沙は遠くの方で誰かと話してる。











やっぱり帰ろうか、と鞄に手を伸ばしかけたそのとき。













「名前は」



ななめ後ろから声が掛かった。











まさか、______まさか、



こんな声、世界中を探しても1人しかいない。



あえて、そっけなくした。

















「佐野」


「下の名前は?」


「お前なんかに教えるか、あほちゃう」


「ちょっ、俺の真似やからって冷たすぎや!」











けらけら笑う、しげおかがいた。











「ばか、」



遅いよ。



涙が滲んだ。











「ごめん、ちょ、泣かんとってや」



慌てたしげおかは私の手を引っ張ってカラオケを出た。



大学に戻って、桜の木の下のベンチに腰掛ける。












「聞いた?神ちゃんと小瀧に」


「なにをよ、」


「ちょっ、言わすなや」


「言ってくれなきゃわかんない」











わざと拗ねてみせる。



観念したようにしげおかが話し出した。
















「俺さ、高1の入学式で一目惚れしてん」


「やっとその子と同じクラスになれてんけどさ、」


「もうその時には引っ越すん決まってて」


「下手に恋とかに発展したら離れるの嫌になるし」


「嫌われた方がましやと思って冷たくしてた」







「でも、我慢しきれなくて打ち上げのとき言っちゃったんよ」












...だから、付き合う、っていう話をしなかったんだ。



それはしげおかなりの優しさだ。















「もう、遅い?」



眉を下げたしげおかが顔を覗き込む。



そんな顔、ずるい。











「遅く、ない」


「よかったぁ」
































「A、俺と付き合ってください」


「...はい、」


「遅いよバカ」


「待たせてごめん」


「絶対、もうどこにも行かんから」














高2のやり直しを2人でしよう。



つめたいフリの裏側に隠されたのは、



しげおかの本当の「やさしさ」だった。









fin.




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あとがき・Twitter始めました(2018/5/25追記)→←#46



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抹茶ラテ(プロフ) - もうほんっと甘酸っぱすぎでキュンキュン通り越してギュンッギュンしました!!こんな素敵な作品をありがとうございました! (2019年8月14日 0時) (レス) id: f561c365ea (このIDを非表示/違反報告)
アップルパイ - 不器用だけど、とっても優しい重岡くんにキュンキュンしました!これからもfight! (2019年3月25日 14時) (レス) id: 21ade4ea86 (このIDを非表示/違反報告)
れんこ - 感動して目頭が熱くなりました、、 (2018年4月10日 21時) (レス) id: 3120da164d (このIDを非表示/違反報告)
TTR(プロフ) - とても面白かったです!感動しました!これからも頑張ってください! (2018年3月4日 12時) (レス) id: 7ecb9e6c11 (このIDを非表示/違反報告)
りんか(プロフ) - すっっごい感動しました! 涙が止まりません笑 楽しませていただき、ありがとうございました♪ (2018年2月16日 16時) (レス) id: a0bd5d5d2f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ましろ | 作成日時:2016年12月15日 16時

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