つめたいフリの裏側は [赤]

#12 ページ12

.












いつもの冷たい言葉、



いつものしかめっ面のはずなのに、







なんでだろう。












心臓の奥がぎゅうっと縮まった。

















私がいない少しの間に、落とした缶を片付けて、



私が届かない棚にある刷毛まで取ってくれて、



しかも走って探しにきてくれたのかちょっと息が切れてる。












...気づいちゃうんだよね、無駄にそういうとこ。
















固まったままのわたしを振り返って、



「はよ」



と急かす。



あわてて足を動かして隣に並んだ。


















すごく、胸が苦しい。



走ったわけでもないのに。



帰り道もずっとしげおかは早足だったけど、



たまに立ち止まって待ってくれた。











...行きは振り向きもしなかったくせに。


















学校に戻ると、神ちゃんが首を伸ばして待っていた。



「ありがとなぁ、」

















でも、ペンキがなくなって一旦止まった作業のせいで、



作業場全体に漂う停滞モード。
















すると。



「俺どこやればええ？」



神ちゃんに聞いて、色塗りを真っ先に始めたのはしげおかだった。

















なんなの、さっきまでやる気なさそーに座ってたのに。



すると、しげおかに引っ張られるようにみんな作業を再開。






















私も、足りるようになった刷毛を握って色を塗った。



いつもは下校時間の6時ぎりぎりまでかかる作業が、



今日の分だけでちょっと早く終わった。













.

#13→←#11

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す