つめたいフリの裏側は [赤]

#26 ページ26

.










最初の対戦相手は、高1だった。



力を出し切れれば、絶対に勝てる相手。



かけ声を合わせて、全体重を綱に載せる。











引っ張っているうちにだんだんと手応えが出て来て、



最終的に高1は総崩れになり、



私たちは勝利を手にした。













ここまでは練習通りにこれている。



残すは高3。



高3は体格のいい人を揃えて来ていて、最大の敵だ。












でも逆に、高3に勝てれば優勝は確実になる。



みんなで円陣を組んで気合いを入れ直した。












でも、大きい声を出そうとするとまた眩暈。



それに気づいたかは分からないけれど、



私の隣にいたしげおかが珍しく大声をあげた。













「絶っっ対勝つぞ！」



「おぉぉぉー！！」



みんなの雄叫びで、心はひとつになる。














背中に回ったしげおかの手が、



気のせいかもしれないけど、ぽんぽんっと2回弾む。



それでなんだか力が出た。















熱があることなんか、頭の中から消え去った。



さっきよりも力を込めて、体重を乗せた。



綱を引いた。














さすがの高3。



高1のように簡単に決着はつかない。



パァン、と終了を告げるエアピストルが鳴る。














祈るような思いで、勝った方に立つはずの旗を見つめた。



となりを見るとしげおかも同じような顔だけど、



なんとなく、勝てるな、という安心したような気持ちになる。













見つめた旗は、



私たちの方向に、上がった。












.

#27→←#25

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す