つめたいフリの裏側は [赤]

#2 ページ2

.














カラオケに入ってドリンクを頼む段になっても、



男子はみんな派手めだけど、



さすがにアルコールを頼む人はいなくて一安心。




















未沙はずっと小瀧くんのまわりをうろついてて、



私はたまに誰かが歌う歌を聞くともなしに聞いていた。















大きい音で、耳が疲れるのがわかる。



...やっぱ帰ろうかな。



鞄をつかみかけたそのとき。


















「自分、名前なんていうん？」



さっきまであっちで未沙といたはずの小瀧くんが、
目の前に。

















「佐野Aです」


「Aっていうん？ええ名前やなぁー」


「いやな？ひとりで寂しそうやったから！」


「来てもうてん！」
















別に寂しくないし。



満面の笑顔で言われても。



ていうか異様なハイテンションに違和感。














「...小瀧くん、酔ってる？」


「おん！」

















即答した彼に曖昧な笑みを向けて左手でカバンをひっつかみ、



帰る体制は万全。
























学校とかにバレて巻き込まれたらめんどくさいし。



そこに入り込んで来たこれまた奇抜な男子。



金と銀との中間の髪色に、着崩した制服。




















「もうー、のんちゃん、困ってるやんか」



ごめんなぁ、と笑いかけられたその顔は、



奇抜な外見とは相反するもので驚く。



















「のんちゃん、雰囲気ですぐ酔うねん」



「飲んでんの、ただのジンジャーエールやし」



そうなんよ、とうなずく小瀧くんはやっぱり酔っている。













.

#3→←#1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す