home bitter home5 ページ27
「Aさん――、疲れましたか?」
「え?」
「ここにきてからずっと、難しそうな顔をしています」
「昴さんを巻き込むことになって悪かったなって思って」
私はテーブルに頬杖をついてそう言う。
どう考えたって、彼は自分のことで手一杯のはず。
そりゃ、本当に推理好きで謎があったら解決したいのかもしれないけど……
こんなよくわかんないことに巻き込んでしまってよかったのだろうか。
「そんな風に思ってたんですか?
私を巻き込んだのはAさんじゃなくて、質(タチ)の悪い怪盗ですよ。気に病まないで」
昴さんはぎゅうっと私を抱き寄せる。
「え?……キッド?」
「ええ、だからそんな顔しないで」
頭に、頬に、唇に。甘いキスが降ってくる。
「だって、昴さん自分のことで手一杯なのに――」
「それは心外。
そんなに余裕がないように見えますか?」
「見えるわけないじゃない!
仮に余裕がなくたって、そんな風には見せないでしょ?」
昴さんは一瞬、驚いたように目を見開いてそしてふわりと甘い笑みを見せた。
「では、余裕がなくなったら正直にお話しします。
だから、それまでは信じていて――ね?」
「絶対?」
「絶対」
絶対嘘だなって思ったけど、髪を撫でる手が優しかったし、頬に触れる手が愛しかったし、私を見つめるまなざしはこれ以上ないほど甘かったし、自分でもこれ以上どう言葉で確認したら満足できるのかわからなかったから、私は彼にぎゅーっと力いっぱい抱き着いて、自分を納得させることにした。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時