Call Spade5―赤井side― ページ21
Kittyは、時折悪意の全くなく、こちらの劣情をあおってくる。
新聞を見ている間中、意味ありげな表情でこちらを見てくるのはやめてほしい。集中力にも限界があるし、どうやって黙らせるか頭を悩ませるこちらの身にもなってくれまいか。
「Aさん。これ以上煽るなら、人目のないところに連れて行ってイイコトしてあげましょうか?」
耳元でささやくことで、ようやくおとなしくなったAの頭を撫で、俺は別の新聞の束に目をやった。
――これは、先ほどとある学生が熱心に眺めていたものだ。
手に取ったときに嫌な予感がした。
ページをめくっていけば、やはり、小さな記事が切り取られていた。
俺は周りを見渡すが、先ほどの学生は姿が見えない。
「Aさん、この新聞持っていてもらえます?」
そう頼むと、慌てて書庫を飛び出した。
渡り廊下にごく普通の女子大生が立っている。
けれども、その瞳はいでたちに反して、ひどく挑発的なものだった。
「佐藤A――ねぇ?」
「キッド」
しい、と、人差し指を唇の前に立てるとにこりと笑った。
「さすがにここでは撃てませんよね、沖矢先輩❤」
誰がどう見ても、女子大生にしか見えない当たり、本当、この怪盗、嫌がらせが過ぎる。
「Why don't you call her SPADE?(どうして彼女をスペードと呼ばないの?/スペードと呼んでみたらどう?)」
――スペード、という単語にどきりとした。キッドは、Aの本名に辿り着いたことを隠しもしない。
俺はポーカーフェイスで聞き流す。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時