home sweet home2 ページ13
「キッドからのメモリーカード……だよね?」
私に知られたくない大事な仕事なら、彼はこんなところで作業することはない。
「詳細が知りたい?」
「辞めておくわ。言いたくないってあなたの顔に書いてあるし……。
やっと記憶も戻って元通りに慣れたのに、これ以上
久しぶりのバーボンソーダは、すごく美味しい。
ダイニングテーブルの向かい側で、秀一は行儀悪く頬杖をつきバーボンを飲む。それは、やっぱり昴さんの時とは雰囲気が違って――
でも、どっちも絵になる。モデルみたい。
非現実的な、テレビの中の映像みたいな彼につい見入っていたんだけれど、もちろん彼はテレビの中の人ではないのでそのうち私と視線を合わせ、ついにはくつくつと笑いだす。
「初めて出会ったときみたいだ」
「――え?」
あれは私がいつものように夜の公園で走っていた時のことだった。
「夜の公園で、一人で走っている君に声をかけた」
++++++++++
『こんな日は少し、休んだ方がいいですよ』
あれは、急に湿度があがった梅雨入り前の夜だった。
いつものペースで走ってた私は、息苦しくなったことに気づいていなかった。
――だって、私の人生なんて息苦しいのが当たり前だったから。
その時の私は何年も、もうほとんど人とまともに話していなかった。テレビや映画を見るばっかりだったから本当にびっくりした。
まるで、テレビの中から人が出てきたみたいに思えて、言葉も出ずにただ――彼を見つめていた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年5月25日 13時