目が覚めたら私の恋人は赤井秀一でした3【名探偵コナン】 (ページ11)

今日:7 hit、昨日:52 hit、合計:29,477 hit

Memory Card―赤井side― ページ11

人をその気にさせておいて、すぐに逃げ出す――

子猫のごとく、するりと腕から逃げ出したAを見送るとポケットからメモリーカードを取り出した。

怪盗からのプレゼントなんて、不穏以外の何物でもない。

パソコンに取り入れて開いてみれば、

『ちょっと、ガキンチョ！これから打ち合わせしたいって言ってるわよ？』という鈴木園子の声の直後

ここまで本人になりきり模写できるものなのか。俺は内心舌を巻く。これが怪盗キッドの声だと見抜くことなど誰にもできないに違いない。

『うん、わかった。すぐいく。Aさんも一緒に行こう？』疑うことのないボウヤの声が聞こえてきた。

以降は、園子(キッド)とAとの会話が続く。

ペリドットに見惚れた話から始まり、

Aの親がマジシャンだったこと、姿をくらましたこと

月に透かすと色の変わる宝石――

おそらく、この会話が全てで、Aから他のことは何も聞いてないことの証明に怪盗はこれを渡してきたのだ。

編集する時間などなかったと考えるのが妥当だ。

美術館で回収した、Aのスマホを見る。
見事に銃弾を受けていた。

あの時、目を見開いて銃撃に驚いた顔すら演技だったのかもしれない。

底知れぬ男が何を考えているのか――

『Can you hear me？(聞こえてる？)
　Call a spade a spade,I don't want to fight with you.(率直に言って、あなたとは戦いたくありません)』

静寂の後、急に英語の音声が入っていた。
キッドからのメッセージだ。

『See you next illusion. Bye』

で締めくくられていて、大した内容はない。

次のイリュージョンで会うわけないだろう。この言葉に何か意味はあるのか？それともただの決め台詞――？

気づけば早くも、今夜何本目かのタバコを灰にしていた――。

我に返ったのは、Aが目の前にバーボンの入ったグラスを置いたからだ。