6グラム ページ7
病院情報を絞り込んだ零は、片っ端から電話して昴さんのいる病院を探してくれた。
私たちをヘリで送り届けた後、風見さんはIoTテロの件で一足早く事務所に戻ると言う、
「だったら、零も仕事に戻って? テロなんでしょ?」
私が言うと、零は困った顔をして私を見つめて、優しく頭を撫でてくれた。
「君のデータのおかげでどれほどの人が救われ、情報収集の手間が省けたと思ってるんだ。それに今、君を一人にさせておいたら僕は仕事が手につかない。風見、後は任せて構わんな」
「ええ、そうしてください。蘇芳さん、資料と情報提供ありがとうございます。きっとこの情報で大勢の人を救って見せます」
なんて、すごく真面目に言ってくるから困る。
本当はもっと私もこの件について考えた方がいいんだろうけど、シュウのことを考えたら居ても立っても居られなかった。
両親と兄の訃報を受けた日のことが頭をチラついて離れない。私は飛び立つヘリの中で、ギュッと零の手を掴んだ。
病院は多くの事故の被害者が担ぎ込まれていてちょっとしたパニック状態だった。
流石に私もそこで、「沖矢昴はどこですか?」と聞くわけにも行かない。
「家電の前に車の方をなんとかしないとな」というから
「とりあえず、テロに限定せずに、加害車一覧のデータに基づき何かのシステム暴走の疑いがあるって根拠を示してサーバー落としてみたら?」と私は言う。
私の中ではもうテロとかどうでも良くて、とにかくシュウの安否だけが気掛かりだった。
零は不安で仕方ない私の手を引いて、電話のかけられるエリアに移動する。途中で、手術室を見かけた。
看護師さんを捕まえて聞いてみると、さっき事故で救急搬送された人の緊急オペだと言う。
私は崩れ落ちそうになって、ひょいと零に抱え上げられた。零は私を肩に担いだまま。風見さん宛に電話をかけている。
「病院から出ないから離して!」
1秒でも早くシュウの無事を確認したくて、私は真剣な口調で電話をしている零の首筋に噛みついて、手が緩んだ瞬間に逃げ出すことに成功した。
「いやなんでもない。愛犬に噛みつかれただけだ。気が立ってるんだよ」って言ってるのが背中越しに聞こえた気もしたけど、構っていられずに、もう一度救急外来へと足を運ぶ。
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まつり(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます!前回のキッドの時とはまた違うパターンでってイメージでしょうか。承りました。 (2023年1月30日 6時) (レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続編おめでとうございます、!この話大好きすぎてやばいです。リクエストは、ヒロインが赤井さんと降谷さん以外の男性と親しげに話していてそれにすごーく嫉妬で狂う姿が見たいです、、! (2023年1月30日 2時) (レス) @page11 id: d7cfe12389 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 星良さん» こちらこそ、応援ありがとうございます。リクエストありがとうございますー!いいですね。私も見たい!是非書きたいと思います✨ありがとうございます。 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 続編おめでとうございます!! 今回も楽しく読ませていただいています✊ リクエストなのですが、、、蘇芳ちゃんが嫉妬?しているところがみたいです💦 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 4e794d85df (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - やっちさん» やっちさん、こちらこそ、続きまで読んでもらってありがとうございますー!引き続き、よろしくお願いします。 (2023年1月28日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まつり | 作成日時:2023年1月28日 15時