21グラム ページ25
「ただいま！」両手にチーズとか生ハムとかアイスクリームとか牛肉とか！とにかく食べたいものをいっぱい詰め込んでご機嫌な私は、家のドアを開けた。
「お帰り」と抱きしめてくれたのは、シュウだった。寝る時しか逢えない人に逢えるのはすごく嬉しい。
「シュウっ！」
昴さんとは毎日会っているけれど、やっぱり私が大好きなのは赤井秀一だ。
「ほらそうやって、今日一日の締めくくりを奪っていく」と私の背後で零がため息をつくから、私はびっくりしてシュウの腕から抜け出して、キッチンに向かう零に着いていった。
「零、拗ねないで？ 手伝うからっ」
零は大抵零だから、こういう気持ちになることはない。
安室透はポアロでしか見ることができないし、基本的に安室さんには触れることすらできないので、あまり現実味はなかった。
だから同じように比較ができない。包丁を出そうとしているところを引っ張って後ろから抱き着けば「危ないから後でね」と笑う。
「拗ねてないよ。じゃあ、皿を出してくれる？君に盛り付けを頼むと、端から食べていく気がするけど気のせいかな？」
「ポテトサラダ作るって言ったでしょ？ だから手伝うの。後はお肉を焼くの見る！」
「見るだけなんだ？」
「だって全然焼き加減わかんないもん」唐揚げとかステーキとかハンバーグとかを作るのは苦手だ。生焼けか焦げすぎのどちらかにしかならない。
「だったらほら、グラスとか並べておいて。大丈夫。本当に拗ねてないから」
「またデートしてくれる？」
「もちろん。僕からも誘うよ。何度でも」零は腰をかがめて私にキスをした。
「皿を運ぶくらいなら俺もできる」と、私が持つ皿を簡単にとっていくのがシュウだ。煙草を咥えたまま皿やワイングラスを持つのどうかと思うけど、彼は絶対に灰を落としたりはしないので、まあいっかという気分にはなる。
それにしても、どうして沖矢昴で居る時は禁煙できるのに、赤井秀一になるとこうもヘビースモーカーになってしまうのか……。
彼のスイッチがどこにあるのか私にはさっぱりわからない。
いつもハイネックで隠されている首元は、黒いシャツを身に付けている今は、むしろ大胆なほどに開いていた。もう一つボタンを留めても、多分全然苦しくないよね？
普段人目にさらされなくなってもう何カ月もたつ、彼の白い首元にドキッとする。
シュウはそんな私を見透かすように、やたらと色気のある笑みを見せてくるから脈があがる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 271人がお気に入り
お気に入り作者に追加
「名探偵コナン」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まつり(プロフ) - いちごさん» ありがとうございます！前回のキッドの時とはまた違うパターンでってイメージでしょうか。承りました。 (2023年1月30日 6時) (
レス) id: 6a01f04095 (このIDを非表示/違反報告)
いちご(プロフ) - 続編おめでとうございます、！この話大好きすぎてやばいです。リクエストは、ヒロインが赤井さんと降谷さん以外の男性と親しげに話していてそれにすごーく嫉妬で狂う姿が見たいです、、！ (2023年1月30日 2時) (レス) @page11 id: d7cfe12389 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 星良さん» こちらこそ、応援ありがとうございます。リクエストありがとうございますー！いいですね。私も見たい！是非書きたいと思います✨ありがとうございます。 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
星良(プロフ) - 続編おめでとうございます！！ 今回も楽しく読ませていただいています✊ リクエストなのですが、、、蘇芳ちゃんが嫉妬？しているところがみたいです💦 (2023年1月29日 17時) (レス) id: 4e794d85df (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - やっちさん» やっちさん、こちらこそ、続きまで読んでもらってありがとうございますー！引き続き、よろしくお願いします。 (2023年1月28日 20時) (レス) id: 40409137ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まつり
| 作成日時：2023年1月28日 15時
