敵の敵14 ページ48
「じゃあ、2時間だけ仕事したいから、夕食はその後でいい?
キッド君は週末どうするの? 今日もここに泊まる?」
「いいや、しばらく安室さんも来そうにないし、オレもこれで帰る。また、何か困りそうだったら連絡して?
――っていうか、安室さんもだいぶやばいよな。変装なんてしてないのに、バーボンの時とは別人にしか見えなかった」と、キッド君が言う。
「待って。夕食食べて行って? キッド君が食べてくれるなら、私も夕食同席する。
仕事後に回しても支障ないし。プロが作ってくれた料理だから味は保証するよ」と言えば
キッド君は男子高校生らしくにこりと笑って
「じゃあ、食べていく!自分で盛り付けても平気?」とキッチンを覗き込んでくれるからホッとする。
2人それぞれ、お皿にあれこれ盛り付けながら、
「変なことに巻き込んでごめんね」と言えば
「おねーさんと付き合えるならこのくらい♪」とにっこり笑ってくれるのは心強かった。
彼の中で私たちのこの厄介な三角関係はどう認識されているのだろうか。
気になるけど、掘り下げたところであまりいい結果は得られなさそうだ。
「キッド、君がどう頑張ってもおねーさんとは付き合えない」と、わざわざ一言入れてくるのは沖矢さんだ。
「昴、子供相手に大人げないよ?
そんなこと、キッド君が一番わかってるよね?」
と、諭すように言えば
「おねーさん。18歳で成人(オトナ)になるって知ってるよね? つまり後1年もしないうちにオレ、、おねーさんと同じ、大人だからね」
と返してくるから困る。
「なるほど。では、それまでになんとしても諸問題を解決してAさんと籍を入れなければなりませんね」なんて言って、私のこめかみにキスをするのはもちろん、沖矢さん。
さっきまで、お互い協力しあっていたのに、敵(零)がいなくなると、すぐこうなっちゃうんだから。
どれほど意味があるのか判然としない、面倒な攻防戦止めてくれるかな――。
「とはいえ、お酒はハタチになってから、でしょ?」
くすりと笑ってワイングラスを掲げて見せれば、キッド君はむっと唇を尖らせるのだった。
――可愛い。
「冗談よ、私も今夜は少しだけ仕事を片付けたいからお酒はやめておく。
一緒にジュースで乾杯しよう?」
ぶどうジュースで乾杯して、キッド君を労った。
食事を済ませると、じゃあねー、と帰って行くキッドを見送って、私は仕事に戻った。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月25日 12時