秘密の開示4 ページ48
「そっか……。だからコナン君は私を怪しんだのか。
ウイスキー全般、苦手なんだよね、私。あ、あくまでもお酒の話よ?
組織に、ウイスキーって人がいるかどうかは知らないわ」
「バーボン――だけじゃないけどね」
哀ちゃんが呟いた。
「今、江戸川君が探しているのがバーボンというコードネームを持った幹部なの。お姉さんがバーボン苦手って言ったから、謎のスイッチが入っちゃったみたいよ。
名探偵とは言い難いわね」
くすりと皮肉っぽく言って笑う哀ちゃんは、もうすっかりいつもの様子でほっとする。
「バーボン……?」
なるほど。確かにあの時蘭ちゃんは貰い物のバーボンがあるから出そうかと言った。
そういえば、零もシュウもバーボンをやたら好んで飲むような。いや、ボトルワインを頼めばワインも飲むし、ビールがあればそれも開けるから、そうでもないか、な?
「哀ちゃんは知ってたりするの? その人」
「――幹部は入れ替わりも少なくないから。
それに、組織は世界規模だし、組織の秘密を守るためもあって、そこに所属していてもなかなか全体像は見えてこなくてね。厄介なのよ、色々と」
それなのに、哀ちゃんも知っている幹部を二人も目にするなんてある? 他人の空似?
しかし、私は今哀ちゃんの口からとんでもないことを聞いてしまった。
ずっと昔、零が私に言ったことがある。
『君のことはスコッチも気にかけていたから』
ずっと悪酔いした降谷さん(その頃は降谷さんと呼んでいた)のたわごとだと思っていたけれど。
【バーボンだけじゃない】ってことは、ひょっとしたらスコッチも、人のことを示しているってことになるのかもしれない。
そして、スコッチが幹部の名前を指している以上、彼と対等な立場でありそうな零もまた、【組織内の幹部】ということになりかねない。
なんか、この前私がコナン君に疑われた話をしたときに、やたら零がバーボンを眺めながら意味深な顔をしていたのは、つまり――?
.
あ、なんかだめだ。ぐらぐらしてきた。
ちょっとコンビニにでも寄りたいし、なるほどこんな時に煙草の一本でも吸って気持ちを落ち着けたくなるのかもしれない。
潜入捜査って末端で居ちゃダメなの? 組織の中でも上に上がらなきゃ欲しい情報は掴めないってこと?
――裏組織でそんなところまで上がった人間は潜入捜査が終わった後で、【クリーン】が売りの警察内においてどんな扱いをされるんだろう――
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作者名:まつり | 作成日時:2022年11月8日 10時