溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

失恋4―ジョディside― ページ5

仕方ない子だな――と、彼女の背に自分のジャケットをかける様子は、どこか保護者のようにも見えた。

「シュウ、知り合いなの？」

「――俺にとってはな」

と、予想外の返事がきた。

「ちなみにこの子は、今日失恋したばかりでやけ酒中」そういってくすりと笑う。

――シュウが笑ったところを見るのはいつぶりだろうか。

なるほど、もしかしたら妹を見守るような気持ちなのかもしれない。


「いやまあ、気持ちはわかるけれど。
　でも、あなたの可愛い妹が将来、失恋してバーに飲みに行くとして隣の男に絡まれたりしたらあなた、正気じゃいられないんじゃなくて？」

「――当たり前だろ？
　そんなことがあったら、妹をフった奴も隣の男もまとめて始末してやる――」

仮定話に対して、突然殺気立つのはやめて欲しい。シスコンにもほどがある。

「だったらやめておきなさいよ、彼女だって誰かにとってはそういう存在よ？」

「――いや、残念だがこの子の家族はもう誰一人この世にはいない」

シュウはそう断言した。

「それって――」

うっかり、シュウの聞いてはいけない過去を聞き出してしまったのかもしれない。





「組織にいた時に、俺が――」始末したからな、とシュウは音を出さず唇だけを動かしてそう言った。

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