溺愛禁止！1【赤井秀一】【安室透】

飲み友達6 ページ15

「で、何の話がしたかったんですか？ 後30分あります」

お弁当を食べ終わった私は、赤井さんの傍に駆け寄って問う。

「君、冷えているじゃないか」

赤井さんは自分のマフラーを外して私に巻いてくれた。

一挙手一投足が素敵すぎた。なにこれ、ときめく……。

「日本の3月って気候が不安定なんですよ。気温も日によってずいぶん違いますし。
　赤井さんも旅行中気を付けてくださいね。
　ありがとうございます」

「ああ、そうだな。
　君は今、1人で暮らしているのか？」

「ええ、1人暮らしです。
　面倒見の良い、兄みたいな人が隣に住んではいますが」

「ほお、それがそのお弁当を作ってくれたって言う……？」

「ええ、そうです。
　赤井さん、もしかして、私の生活を心配してくれているんですか？
　金曜日、そんなに不安定でした？
　ちょっと飲みすぎたかしら。

　私を誘ってくれた上司が実は妻が居たって事実を知って腹を立てていただけで、まあ概ね楽しくやってます」

もしかしたら、すごく不幸な女の子だと思われたのかもしれない。

アメリカや欧州の人から見たら、日本人って予想以上に幼く見えるって言うしなぁ。

「だから、心配しなくて平気ですよ？」

通りすがりの旅人にそこまで気の毒に思われたなんて、ちょっといたたまれない。

赤井さんは目を丸くして私を見ていたが、そうか、と、口元を緩めて静かに微笑んだ。

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