disclosure11―沖矢side― ページ27
愛を確かめ合った後、気絶するように眠ってしまったAの乱れた髪を整え、紅い唇にキスを落とした。
そのまま、疲れに任せ瞳を閉じた。
俺が目を覚ましたのは朝の5時前。
ぐっすり眠っている彼女を起こさないようにベッドを抜け出し、シャワーを浴びて「沖矢昴」へと姿を変える。
Jの部屋をノックすれば、返事があった。
「jet lag(時差ぼけ)は治ったか?」と問えば
「元々ショートスリーパーだろ、お互い」とJは笑う。しかしそれはどこか空虚な笑みに見えてはっとした。
ノートパソコンを眺めていたJが、顔をあげる俺に視線を向けると、煙草を咥えたまま肩をそびやかした。
視線に促されるまま扉を閉める。
「お前が気にしていたファイル、確かに流出が確認できた。
拡散じゃなくて、流出。
オンライン上にあるものは、可能な限り、ウイルスや端末の事故を装って削除しておいたが……。
間に合ったかどうか、危ういな。
完全なオフラインでどこかに保管されている可能性もゼロじゃない」
Jはため息をついてそういった。
可能性の1つに過ぎないと思っていたが、本当に流出していると聞いてうんざりした。
「どこもかしこも裏切り者だらけって話だな」
どこかのNOC(ノック)が溢れている黒好きな組織を笑っている場合じゃない。
裏組織に裏切り者が潜入しているように、表組織に潜入している裏切り者もまた、存在するということだ。
disclosure12―沖矢side―→←disclosure10(お知らせ)
119人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時