disclosure6 ページ22
「J、夕食うちで食べる? それとも、どこかに食べに行く?」
折角日本に居るんだから、美味しいお店を案内してあげた方がいいのかも。
「一緒に食べに行きたいけど、それこそこんな目立つお兄さんとデートし続けたら周りがあれこれうるさいでしょ? 仕方ないから自粛しておく。パスポートがない人は日本に置き去りにして、今度、ワシントンDCに遊びにおいで」
ほら、これが連絡先、と、Jが私に一枚の名刺を渡してくれた。
メールアドレスと電話番号だけ記されている、ごくシンプルな名刺だった。
Jというアルファベットすら書いていない。
「メール一本送るだけで、手持ちの端末全てハッキングされること間違いなしだがな」秀一さんは名刺を一瞥して肩をすくめた。
「まあねー。そのくらいは序の口でしょ。だって、わざわざ俺にメールを送ってくれる子のこと、詳しく知りたくて当たり前。シュウ、俺から盗聴とハッキング学んでおいて、何言ってんの」
シュウにも十分気をつけたほうがいいよー!じゃ、そろそろ準備して出かけてくる、コーヒーご馳走様といい、Jが立ち上がる。
後で、出かける姿をちらりとみかけたけれど、長い金髪は全て帽子に突っ込み、サングラスをかけてあえて体の線が目立たないよう、だぼっとしたファストファッションに身を包んだJからは、確かに華やかなオーラは消えていた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時