disclosure3 ページ19
「死んだって聞いたときは心底驚いたけれど、シュウが思いのほか元気そうでよかった」
「でも、JもFBIなんでしょう? わざわざ来日して接触しても大丈夫なんですか?」
折角変装しているのに、「沖矢昴」がFBIと接触するなんて不自然極まりないのでは。
「ああ、その点なら大丈夫。ビューロー(FBI)の人間だってほとんど俺の本名も素顔も知らないよ。特別室勤務だし、なるべく素顔は明かさないようにしているから。とはいえ、こっちは相手の顔も素性もよーく知っているから、不公平と言われればそれまでだが」
「え?」
「だってこんなナイスガイがあんな情報やこんな情報を盗み見しているって知られたら、誰だって良い気はしないだろう?」
しれっと言い切ってブラックコーヒーを飲む。自己肯定感の高さに舌を巻きつつ、そのあたりは秀一さんと同じだなと思ったりもした。突っ込むだけ時間の無駄そうなので、素直に聞き流す。
「じゃあ、どうして『シュウ』には素顔を教えたの?」――これが素顔であるならば、だけど。
「教えるわけないだろう? 知らねー奴からの情報なんて信用できないとか難癖をつけてきて、あいつが勝手に接触してきただけだ。
もちろん、君に会うのも想定外。あんなに人間不信を擬人化したみたいな態度で、心を閉ざしまくっていた奴がまさか本当に人を連れてくるなんて」
なんか、秀一さん、ものすごくひどい言われようだけど、大丈夫かしら。
「お前も一度死んでみたらどうだ?
ほんっと、余計なことばかりぺらぺらと」
不意に秀一さんの声が聞こえてたので、驚いて顔を上げる。
顔を上げればドアの向こうに立っていた。
「秀一さん、まだ寝てた方がいいよ?」
「問題ない。Aと奴を二人きりにする方がよほど心配だ」
秀一さんはそう言うと、立ち上がった私を抱き寄せ額にキスをする。目の前に人がいることなんてお構いなしだ。
「じゃあ、コーヒー淹れるね? 何か食べる?」
いらないと言われたので、コーヒーだけ淹れる。
Jが日本語で会話する私たちに「Speak English.(英語で話せよ)」と促すところを見ると、日本語はあまり得意ではないのかもしれない。
その後で、「シュウ、もう起きたのか。余計なことはこれから山ほど話すつもりだったのに、残念」と言い足して、つまらなそうに肩をすくめた。
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作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時