検索窓
今日:13 hit、昨日:139 hit、合計:35,801 hit

夏祭り9 ページ16

「悪い人の見本みたいなのに会わせて悪かった。
 ――帰ろう」

昴さんは私の手を取ると、くるりと踵を返す。
英語で言ってくるあたり、このセリフをJにも聞かせたいということがわかる。

「おい、俺をここに呼びつけておいてそれはないだろう。
 とりあえず、飯を食わせろ!」

後ろから声が降ってきた。

「俺は呼びつけてないがな。
 どこで認識が変わったんだよ。
 お前がここに来ないと作業できないって言ったから付き合ってるだけで。
 ――はいはい。何が食べたい? 和食か? それとも、ハンバーガー?」

「テンプラ。日本で食べると味が違うって、アンドレが言ってたって、聞いたから。あと本場のライスが食べてみたい。日本から帰国した奴がよく、『ライスがうまい』っていってるの、マジで意味が分からないからな」


昴さんは一向に立ち止まらないが、Jは気にすることなく軽口を叩きながらついてくる。

「お前の味覚じゃ何食べたって同じだろ?」昴さんが肩をすくめる。

「それ、お前にだけは言われたくねーわ。だいたいなぁ……」

じゃれあうようにテンポ良く軽口を叩きあう二人を見ながら、ああ、本当に「赤井秀一」が存在して、FBIに勤務していて、その折には彼にもきちんと頼りにできる人がいたんだな、と、私はどこか嬉しくなった。





だから、その日三人でわいわい言いながら食事をした後、そのビルから偶然遠くに見えた美しい花火のことは、きっと忘れないと思う。

disclosure1→←夏祭り8



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (55 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
119人がお気に入り
設定タグ:安室透 , 沖矢昴 , 名探偵コナン   
作品ジャンル:アニメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まつり | 作成日時:2022年8月1日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。