自信過剰な彼氏8 ページ38
「昴さん、本気で言ってます?」
「当然じゃないですか。Aさん、もしかして、遊びのつもりで私と付き合ってるんですか?」
いや……いやいやいやいや。
なんで急に自分がもてあそばれてるんじゃないかみたいな、疑いを込めた切ない口調でこっちに聞いてくるかな?
昴さんを、あるいは秀一を、もてあそべる人なんている? 少なくとも私にそんな技量はない。
「だって、全然覚えてないから――。
私はどんなつもりで昴さんと付き合っていたかなんてわからないよ」
振りむこうとしたらふわっと抱えあげられた。
「ちょ……!」
「危ないから、本当に。
かわいいのは十分知っているから、こんな危ないところでじゃれつかないでください。
夜の海水浴をするにしても、ここは少し向いてないと思いますよ」
いとも簡単に私を抱き上げて、素敵な愛車の元まで連れていく。
「少しは気が晴れました?」
至近距離で楽しそうに彼が問う。
「はい、とっても楽しい時間でした。ありがとうございます」
それより、プロポーズの件が気がかりです。
どうぞと、促されるままに彼の愛車である赤のスバル360へと乗り込んだ。
「別に過去のことなんて忘れたならそれでいいじゃないですか?
私はちっとも気にしませんよ。
今が本気だって言ってくれるなら、それで充分です」
――そっちの方が刹那的すぎませんか?
178人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:まつり | 作成日時:2022年5月13日 17時