80 ページ30
「んー…ん?」
あ、また寝てしまったんだな。
と思うのと同時に、両腕でガッチリホールドされて身動きできない。
紫耀くんにしては細いし、筋肉もない。
そしてこの懐かしい香りは…
廉だった。
スヤスヤと眠る廉は、少し幼く感じた。
そーっと髪の毛をあたっていると、長い腕が伸びてきてガッチリと掴まれた。
「ほんま、昔から俺の髪の毛あたるの好きやな」
「だって普段触らせてくれないじゃん。もしかしてまた居酒屋で寝ちゃった?ねぇ、そろそろ離してよ。紫耀くんに悪いし…」
「少しくらいええやん。前はいつもこうしてたやろ。それに頑張って運んだ俺に感謝してほしいくらいやわ」
まだ眠いのか、私の身体をキツく抱きしめる廉。
文句を言っても離れたくないなと思っている私は、最低なのかもしれない。
「廉が運んでくれたの?」
「おん。紫耀、用事があるからここに泊めさせてやってって。別に変なことはしてへんから安心してや」
「ありがと…。紫耀くんにもお礼言わないとだね。そろそろ私帰るよ」
このまま廉を目の前にしてると、廉への想いが溢れ出てきそうだったから、慌てて出ようとした時だった。
「なぁ、もしさ…。このまま何もかも捨てて俺と一緒に来てくれって言ったらどうする?」
私の腕を掴み、真面目な顔をしてこちらを見る。
「急にどうしたの?」
「ええから。答えて?」
「………前の私だったら何も考えずに廉について行くって言ってた。でも今は…、私のこと大事にしてくれる紫耀くんを大事にしたい」
「そっか…」
そう言うと寂しそうな顔をした廉を見ないフリをして、私は廉の住んでいる仮眠室を後にした。
657人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「平野紫耀」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チロル(プロフ) - なんなさん» そう言ってもらえてとても嬉しいです。最近ちょっと話が上手く組み立てれなくて更新おそくてすみません!頑張ります! (2020年2月16日 0時) (レス) id: aa2f9f95a8 (このIDを非表示/違反報告)
なんな - はじめまして!いつもドキドキしながら読んでいます。お気に入りです!最新頑張ってください!応援しています! (2020年2月12日 18時) (レス) id: 9359a1f9be (このIDを非表示/違反報告)
チロル(プロフ) - かなさん» そう言ってもらえると嬉しいです。内心こんなので大丈夫かな?と思ってますが…。更新頑張ります! (2020年2月6日 10時) (レス) id: aa2f9f95a8 (このIDを非表示/違反報告)
かな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!毎日更新されるのが楽しみです!頑張ってください! (2020年2月5日 11時) (レス) id: f6fc3106f9 (このIDを非表示/違反報告)
チロル(プロフ) - みよこさん» ありがとうございます!頑張って更新頑張ります!話がなかなか進みませんが、ようやく少し進みます…。 (2020年2月4日 22時) (レス) id: aa2f9f95a8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:チロル | 作成日時:2020年2月4日 14時