チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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地方での任務が終わり補助監督が運転する車で
高専に戻り、夜蛾先生の所に報告に行く

呪霊本体は弱いくせに非術師を操って逃げ回るせいで
余計に時間がかかり、ストレスも溜まった

報告なんて硝子と傑に押し付けて早く先輩に会いに行きたい
今日はどんな手を使ってでも寮から抜け出すと心に決め、
夜蛾先生が待つ職員室に辿り着くと、知らない男に声をかけられた








「五条悟君だな。少しいいか。」



こんな所にまで入り込み、
スーツを着ているが高専の関係者でもなさそうな男
せいぜい窓くらいの呪力しか感じず、呪具すら持っていない




「悟、知り合い？」

「知らねえよ。誰？」





「睨むなよ。俺だってこんなとこまで来たくなかったんだ。」

「…？」





「贈り物だ。好きにしていいってよ。」





渡されたのは茶色い封筒
中に入っていたのは見覚えのある鍵と
名義を変更されたことを証明する書類

少しも嬉しくも、心躍りもしない”贈り物”
こんなものを渡されて、何を伝えようとしているのか、
考えたくないのに勝手に頭は回って
知りたくない意味を探し出そうとする







「もうお前の荷物しか残ってない。売って金にしてもいい。…お前が住んでもいいが、…香月が戻ることは、2度とない。」

「…どういう意味だよ。」






「もう香月Aはここにはいない。」

「はあ？高専は…」




「辞めたぞ。既に退学届けも受理されている。」






いつの間にか後ろに立っていた夜蛾先生が
あまりに淡々と、簡単に言う

なんでこんなことになった
俺がいない間に、なにがあった

無理矢理連れていかれたのなら夜蛾先生が許すわけがない、
先輩が、自らここを離れたのなら
なぜ自分を置いて、行先を知らせもせずに

愛してるから離さないでといったのは先輩だ



それなのに、
突然俺の前からいなくなった先輩が分からない


子どもみたいな俺が面倒になったから？
高専を辞めてまで、俺を捨ててまでやりたいことが出来たから？







「…っ、…どこに行った」


「それは依頼に含まれてねえ。」







「…半殺しにしたら教えてくれる？」


「無駄だな。」








意思の硬そうな目に諦めて
先生の顔を見ると首を振られた





―本当にもう会えない―





この気持ちを、どうすればいい








少しも、満たされてない

少しも、愛し足りない







もう先輩なしには生きられない自分を、

どうすればいい

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