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― 怖い ―
― 寂しい ―
― お腹空いた ―
― 痛い ―
― …怖い ―
今日も目が覚めたら津美紀と二人きり
朝食べたパンはとっくに消化され、
次を急かすように腹の音は全然鳴り止んでくれない
津美紀は窓から景色を見るのが好きだ
通り過ぎる人に手を振ったり、空を飛ぶ鳥を数えたりしている
でも俺は窓の外が大嫌い
家の前の道にも、公園の土の上にも、空にも、
気持ち悪くて、怖い”やつら”はいっぱいいる
目が合えば、追いかけられる
無視しても、叩いても、泣いても、どこにも行ってはくれない
俺にしか視えない化け物は、
視えていない津美紀にもいたずらをする
髪を引っ張ったり、物を壊したり、
泣きだす津美紀を面白がってますます集まって来る
…お父さんが居れば、こんな事にはならないのに―
お父さんがいるときは、あいつらは近寄ってこない
もう何日も帰ってこないお父さん
津美紀のお母さんはそのせいで機嫌が悪くて津美紀に怒鳴る
家に居たら、泣いている津美紀をもっと怖がらせる
俺があいつらから津美紀を守ってやらないと、
たった2人の、姉弟だから
視えているのは、俺だけだから
：
：
：
―…じゃあ、
いったい誰が、 俺を守ってくれる…？―
：
：
：
『…まーたここで泣いてるの？』
「…っ」
『泣いても、逃げても、こいつらをもっと面白がらせるだけだよ。』
「…え」
怖くて堪らなかった化け物たちを
虫をはらうように片手で簡単に追い払い、
隣に座って背中を擦ってくれる女の人
この前も同じ場所で、同じように助けてくれた
ずっと泣いていたせいで止まらなくなったしゃっくりも
優しく背中を撫でながら落ち着くのを待ってくれる
「視えるの？あれ。」
『…視えるよ。君と一緒。』
この人に怯えているのか
木の陰に隠れて出てこなくなった化け物たちを指さし、
恐る恐る顔を見上げると
同じものを見ている視線を感じた
驚きよりも、感じたことのない安心と嬉しさが込みあがる
俺しか知らなかった怖さを分かってくれる人
この人なら、俺を守ってくれるのかもしれない
『初めまして。私の名前は 香月A。君は？』
「……伏黒 恵」
『お父さんにそっくりだね。』
「…。」
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縞(プロフ) - ゆきえもんさん» ご指摘ありがとうございました。修正しておきます。 (2021年1月28日 16時) (
レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえもん - 33､34に使われている『役不足』は「能力に対して役が不足している」という意味なので『力不足』か造語ではありますが『役者不足』の方が合うと思います(後者は誤用だとツッコまれるかもしれませんが…)。とても好みの作品なのでこれからも応援しています。 (2021年1月27日 23時) (レス) id: eb1315ed8d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ* - 初コメ失礼いたします。 チューベローズの続編が見たいです。大きくなった恵君との絡みや他のキャラとの絡みが見てみたいです。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 初コメ失礼します。チューベローズの初恋の続編を見てみたいです！よろしくお願いします。 (2020年5月17日 10時) (レス) id: 2503e394d8 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメ失礼します。しにたがり姫の方も好きで続編を是非見たいのですが、チューベローズの大きくなった恵などを見てみたいです！よろしくお願いします！ (2020年5月17日 8時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月24日 15時
