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体が痺れてしまうくらい甘い言葉に酔わされて
もう一度口付けようと背伸びをする
― ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ、…ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ、 ―
『…。』
「…？」
しかし、あと少しの所で
聞き慣れた無機質な着信音に阻まれてしまった
振り返るとさっきまで立っていた所で
鞄と一緒に地面に転がって光りながら震えている携帯電話
無視して五条君とのキスに耽っていようと思ったが
あの髭ジジイの顔が浮かんでしまい、
背伸びしていた体の力を抜き、
首の後ろに回していた手を解いた
ポカンとしている五条君に申し訳なくなりながら
発信元を確認するとやはりあの男だった
『…ハイ。』
［えらく不機嫌だな。］
さっきまであんなに甘えた声を出していたのに、
電話越しの相手には掠れて低い、酷い声で返事をする
まあ実際、邪魔されて不機嫌なことに変わりはない
少しくらい申し訳なさを感じろ、と内心毒づく
『…いいから。なに。』
［呪詛師の集団に襲われている。加勢に来い。］
『…もう新幹線乗ったから無理。』
「いいのか。俺の体に傷一つでも付けば縛りを破ったことになるぞ。」
『…。』
「ほれ、運転手がやられたぞ。儂は酔って術式は使えんからな。」
どうせ禪院家に恨みのある呪詛師が
懇親会の情報を聞き付けて
帰りの車に奇襲でもかけたのだろう
自分が相手をすればいいものを、
縛りを出しにしてとことん扱き使おうとする
あの男の思惑が手に取るように分かる
『…。』
無言で電話を切って
まだ状況が理解できず固まったままの五条君の方を向く
このまま彼の腕の中で
叶うことならもっと甘い言葉を浴びていたい
もっと触れていたいし、触れられたい
でも自分の欲だけで生きていけるほど、
身勝手な子どもではいられない
あの父親にそっくりな不愛想な子も
呪いとは無縁な素直で無垢な子も
もう守ると決めてしまったから、
『…ごめん。行かなくちゃ。』
鞄を拾って携帯をしまい
何も聞かない五条君の胸に額をくっつけて謝ると
最後にもう一度抱きしめてくれた
体温も、心臓の音も、彼の匂いも、
全部が心地良くて、本当に離れがたい
「…次は、いつ会える？」
『……分からない。』
「会えるよね。また。」
『………分からない。…でも、いつも君を想ってるよ。ほんとに。』
「Aさんらしくないね。」
『君のせいなんだけど。』
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縞(プロフ) - ゆきえもんさん» ご指摘ありがとうございました。修正しておきます。 (2021年1月28日 16時) (
レス) id: c197e34fed (このIDを非表示/違反報告)
ゆきえもん - 33､34に使われている『役不足』は「能力に対して役が不足している」という意味なので『力不足』か造語ではありますが『役者不足』の方が合うと思います(後者は誤用だとツッコまれるかもしれませんが…)。とても好みの作品なのでこれからも応援しています。 (2021年1月27日 23時) (レス) id: eb1315ed8d (このIDを非表示/違反報告)
まっちゃ* - 初コメ失礼いたします。 チューベローズの続編が見たいです。大きくなった恵君との絡みや他のキャラとの絡みが見てみたいです。 (2020年5月17日 19時) (レス) id: cd2ef48f8b (このIDを非表示/違反報告)
tama(プロフ) - 初コメ失礼します。チューベローズの初恋の続編を見てみたいです！よろしくお願いします。 (2020年5月17日 10時) (レス) id: 2503e394d8 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 初コメ失礼します。しにたがり姫の方も好きで続編を是非見たいのですが、チューベローズの大きくなった恵などを見てみたいです！よろしくお願いします！ (2020年5月17日 8時) (レス) id: 58d70e644d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：縞 | 作成日時：2020年4月24日 15時
