チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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5歳のくせに人間関係を拗らせた昼過ぎのドラマに夢中な恵

隣に並んで内容もイマイチなまま眺めていると携帯が鳴り、
画面を開くと”非通知”の表示に出るのを躊躇う

凭れかかっていた恵を引き離し、ベランダで通話ボタンを押すと
懐かしい声が耳に届いた




「お久しぶりです、香月先輩。」

『…夏油君？』




「ええ。少し、話せますか？」




切れた電話と薄々感じていた呪力元に目を向けると
下で手を振っている夏油君の姿

高専の制服ではない、
黒く緩いジャージ姿
以前とは少し雰囲気も違う





まだテレビに意識が向いている恵に声をかけて下に降りると
エントランス前に移動してきた夏油君と1年ぶりに対面した

背も伸びてずっと大人になった彼
相変わらず顔が良い






「また綺麗になりましたね、先輩。」

『君の方こそ。特級になったらしいね。おめでとう。』




「知ってたんですか。」

『高専に所属しなくても、新しい特級呪術師が出たら耳に入るよ。』





「悟もね。」

『…知ってる。』





「また色んな女に手を出してますよ。貴方と同じ、愛煙家の年上ばかり。」




薄く目を開いて私の反応を面白そうに伺う夏油君

ベランダに置いてきた呪いが
1年経っても彼を縛り付けてるなんて、

酷いことをしたと反省しながら
ほんの少しだけ、胸に心地良い疼きが走る









『……ほんと、可愛い。』

「呪術界最強になった男を”可愛い”なんて言えるの、先輩くらいですよ。」






『もう私の手が届くような人じゃないね。』

「どうかな。貴方になら、名前を呼ぶまでもなく走ってくると思うけど。」









ここにはいない五条君の話題に
1年前を懐かしむように花を咲かせる

自分が手放したくせに、
彼の顔を思い出すだけで辛くなっていたあの頃

恵と津美紀に会い、色々なことがあったおかげで、
こうして笑って話せるくらいには
彼を思う気持ちにも蓋ができているのかもしれない









『それで、何を話に来たの？わざわざこんな所まで。』

「勧誘です。私と一緒に、呪術師だけの世界を作りませんか？」





『…？』






予想外の言葉に、頭が働かず意味が分からない
呪術師だけの世界？
そんなもの、どうやって―






「貴方も、夜蛾先生に会うまでは酷い扱いを受けてきたのでしょう。だから高専を辞め、悟を捨ててまで他人の子どもを匿ってる。」


『…っ』







「安心してください。悟は知りませんよ。」

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