チューベローズの初恋 続【呪術廻戦】

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窓は開けたまま
お風呂上りにベランダで煙草を吸っていると
玄関のドアが解錠される音が聞こえる







『…なにこれ。』


合鍵を持って自由に出入りできる相手は
人生で初めて出来た恋人である彼しかいないため
特に警戒することもなく煙を吐きながら振り向くと
家に入るなり抱えていた荷物を雑に放り投げ
大きな歩幅を急かせながら向かってくる五条君


小さな紙袋に入った”何か”を渡すと
問いかけにも応じず、これでもかと腕に力を込め体を密着させる



私の出張が重なり1ヵ月会えなかった時も
こうして幼い子どものようにくっついて離れなかったが
今回はどこか違う


服はボロボロで
体からは微かに血の匂い

成長期の彼は少し見ないうちに背は伸び体格も大きくなるが
そんな可愛らしい変化じゃない

溢れて飲み込まれそうなほど、
ほんの少し怖さすら感じる彼の突然の変化



星漿体を天元様の所まで護送する任務だと聞いた
確かにまだ17歳の彼には重い任務だと思った

でもこの力の変化は異常だ
一体、彼に何があったのだろう








『…五条君。』


「…、」








『……。おつかれさま。』


「…ん、」









右手には煙草
左手には彼からの贈り物があるせいで腕は回せない

代わりに少し背伸びをして
彼の首筋に額を付けて摺り寄せると
少し腕の力が緩められ
今度は頬、耳、首に何度もキスが降って来る




彼がどんな目にあって
何に苦しんでいるのかも分からないけれど


今はただ、五条君が生きて帰ってきてくれただけで十分だった









「俺の事、怖くない？」

『…ちょっと怖い。』








自分でも何かが変わった自覚があるのか
少し不安そうに怖がらせていないか聞いてくる彼

誤魔化しはせず、感じたままに答えると
申し訳なさそうにもう一度優しく抱きしめられる









「…。」

『でも愛してる。』



彼の腕の中から一度離れ
煙草は灰皿に、
贈り物はソファの上に放り投げて
今度はちゃんと両手で彼の頬を包んで
弱っている五条君にキスをする






「…。」

『……だから、離したりしないで。』








顔を離して見つめ合うと
まだ少し元気がないが彼らしい意地悪な笑顔が見えてきた









「俺が、先輩を離すわけないだろ。」

『そう？』





「証明してあげる。」





ボロボロな体でも簡単に私を抱き上げて
まっすぐに寝室へ向かっていく








『…お風呂入ってよ。ベッド汚れるの嫌だ。』



「そんな余裕ない。」

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