検索窓
今日:3 hit、昨日:9 hit、合計:773,946 hit

33 ページ34

:




触れることはおろか、
傍に近づくことも拒む先輩

わざわざ窓まで開けて隅に椅子を動かし座っている




傷は硝子がすぐに治療したが
出血が酷過ぎて2日も意識が戻らなかった

毎日、何度も顔を見に来ては
死んだように眠る先輩の手を握ってたことなんて知らないくせに





「いいじゃん。助けてもらったお礼だと思って。」

『…来ないで。』





「怖いの?俺が襲い掛かるかもって?」

『…。』








嫌がる声は無視してゆっくり近づき、
制止する手に指を絡めてみると簡単に許される

怖がる素振りも、振り払うこともなく、
困った様に眉を下げ、うつむく顔が可愛らしい







「確かに俺は先輩の匂いに弱い。他の男より、触れたくて仕方なくなる。でも先輩の嫌がることはしないよ。」



床に膝をついて手のひらに軽く口付ける

この人がこのキスの意味を知っているのかは知らないけど、
俺にこんな回りくどい事をさせるのは貴女だけ

先輩が俺だけを見てくれるなら、
淡い期待も、プライドも、何を奪われてもいい









「俺を拒まないで。」







こんな甘い声が自分から出てきたことに驚く
あざとく先輩の手にすり寄って
このまま堕ちてくればいいのに、なんて考えながら
まっすぐ見つめた瞳はまだ困ったように揺れている









:









:









『……。違うよ。…拒んでない。むしろ、君に触れたくなってる。』


「…。」








『でも今はだめ。今流されたら、好きになれない。』


「…どういう意味?」









『君しか見えなくなってからじゃないと、私はすぐ目移りする。ちゃんと五条君のことを好きになりたいの。君以外の男に心を奪われたくない。』


「………どんな理屈だよ。」







拒んでいるくせに、
触れたいと言う


好きじゃないというくせに、
他の男に惑わされたくないと言う



こんなに勝手な女に、なぜこれほど夢中なのか分からない
散々振り回して、気持ちを弄んで、
突き放そうとするくせに、少しも離してくれない









「…ずるい女、」


『だから言ったでしょ。他の、もっと良い女を探せって。』








「…もう無理だよ。…知ってるくせに。」



こっちは既にいっぱいいっぱいだというのに
笑って謝る先輩を少しでも困らせたくて、
今度は手のひらに噛み付いた





























*手のひらへのキス=懇願

34→←32



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (280 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
663人がお気に入り
設定タグ:呪術廻戦 , 五条悟
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - 凄い面白いです!休校中の楽しみですねもう。更新応援してます! (2020年4月13日 10時) (レス) id: b1b211da94 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2020年4月11日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。