夢に彷徨う 【名探偵コナン】

293 二度 ページ5

「あ゛ー、長野久しぶりー……」


駅のホームに降り立つなり、私はそう欠伸をした、正直余りいい思い出が無い。


あるとすれば、高明さんの亡くなったご両親の家を借りて泊まり込みで刀を教えて貰ったことしかない。


「巴さん本当に不機嫌だね」


「そうだよー、何も無いことを願いたい……」


「あはは……」


そう言って私は改札口へと歩き続ける、彼等もとても楽しそうだ。


「そういえば少年」


「前から思ってたけど何で少年呼び？」


急に疑問にされた。


「何となく……コナン君と呼べば良かったかな？」


「んー、どっちでもいいや」


「そうそう、子供は子供のうちに楽しんだ方がいい」


「巴さんもそんな大して変わらないでしょー？」


「私は中身だけ30代」


「どんな理屈だよ……」


そうは言っても事実だからね、心の中で笑いながら言った、私は改めて口を開く。


「緑の部屋は知ってる？」


「え、急に如何したのそんな話」


「んー、じゃあ手術室とかってさ、如何して緑や青で統一されてるか」


「え、……確か、脳の波長が血とかの赤色に慣れないようにするって感じの内容だったよね……？」


補色残像効果のこと？と聞くので、そうそう、と答えておいた。


「それ、きっと役に立つから、忘れない様にね」


改札口から出ている私は、宿をとってから、ぶらぶらしながら神社へ向かう、彼等には振り返らずに手を軽くヒラヒラと振っておいた。

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