321 未来 ページ33
「で、これから君は如何するんだ?」
「如何、とは」
「決まって居るよ、君は元の場所へ帰らなければならないのだろ?」
なら当然、君はその謎を解き明かさねばならないが、君自身が一番分かっているだろう?
「……ええ、何故かは知りませんが、転生者は寿命が短いらしいです」
「なら尚更、君は謎を解き明かさねばならんよ」
「元の場所へ帰れるという保証は何処にも在りませんけどね」
「……一つ聞いていいか?」
何でしょう、と彼を見る、横を向いて見た彼の顔がとても真剣だったので、私は思わず息を飲んだ。
「お前さん、本当に帰りたいと思ってるのか?」
「そりゃあ、」
「なあ、なら何でそんなに歪んだ顔しているんだ?」
歪んだ顔、と聞いて顔に手を当てるが、至って普通の表情のままだった、首を傾げると、長官に笑われた。
「カジキ、心を騙すのは良いが、選択に後悔はすんなよ。
何時だって最後は、決めるのはお前さんだからな」
「……分かっています、でも」
そうだ、私はこの世界に来て恵まれ過ぎた。
私の隣には何時も萩さんや諸伏氏をはじめとする皆が居た、今だって長官が居る、本当の娘の様に可愛がってくれているのだろう。
こんなに楽しかったのは、幸せと感じたのは何時ぶりか、前世に父さんと映画を見に行った時?一緒にゲームした時?
でも、そんなことよりも、私が帰れば、死んでしまったら、萩さんは悲しむのだろうか。
それとも笑顔で送り出してくれるのだろうか。
そんなことを考えていると、長官は又笑った、至って無表情の私には何処に笑う要素があったのかは分からなかったが、頑張れよ、と声を掛けられた。
長官が出ていくと、何故か萩さんと諸伏氏、工藤氏や高明さんまでもが病室の前に居て、私の部屋になだれ込んで来た。
高明さんは私を見るなり泣き出して、貴方が無事で本当に良かったと涙を流しながら言うものだからこちらも泣くしかない、赤子の様に泣いた。
散々泣き終わった後は彼等が色々と話を聞かせてくれた、ハロウィンの日には、私達はいい加減離れないといけないのに、絆された自分が恨めしくなった。
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - さちさん» さち様いつもありがとうございます!出会っちゃいましたね、2人……。そう言って頂けるとこちらも励みになります、改めてありがとうございました!! (2019年10月5日 21時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
さち - 何度も読みに来ちゃいます。おもしろいです。ヒロとゼロの邂逅。続きが楽しみです。よろしくお願いします。 (2019年10月4日 19時) (レス) id: 5f335610e5 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - さちさん» さち様いつもありがとうございます!出ましたね高明さん(笑)これからも頑張って参りますのでよろしくお願いします!! (2019年9月10日 17時) (レス) id: 9224d831df (このIDを非表示/違反報告)
さち - おもしろいです。高明さん出てきましたね。続きが楽しみでしかたないです。よろしくお願いします。 (2019年9月10日 12時) (レス) id: a4eca54f61 (このIDを非表示/違反報告)
久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 水城紗綾さん» 水城様!いつもありがとうございます!はい、更新頑張らせて頂きますので、是非とも今後も楽しみにして頂ければと思います!改めて閲覧及びコメントありがとうございました! (2019年9月8日 19時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:久坂朧@三色団子と朧は神 | 作成日時:2019年9月6日 18時