夢に彷徨う 【名探偵コナン】

314 心臓 ページ26

「こちらへ」


言われるがままにパソコンのある部屋へと案内される、俺は一言失礼します、と頭を下げておく。


パソコンやコンピュータ、資料や参考書までもが所狭しと並んでいる部屋だった、落ちて来たら大変なことになるくらいには、置いてあるものの比率が多かった。


「さて、何から言えばいいのか……。


……んー、ストレスで脳が縮む、というのは知っていますか？」


「……ええ、詳しくは知りませんが参考程度には」


真逆、と嫌な結果が思い浮かんだ。


「これが彼女の脳の写真です、此処、海馬って言うんですが……。


これが正常な人の脳の写真、比べると、縮んでるの、分かるでしょう？」


「…………」


脳の萎縮は記憶障害だけでは無く、心疾患にも影響がありましてね、と目の前の白衣を着た彼は続けた。


「じゃあ今の巴さんは、そのストレスの所為で心臓が弱いのに拍車をかけてる状態、てこと？」


「よく分かったな坊主、お前は頭がいいなー！」


「いや、あはは……」


「ッなら、巴ちゃんは如何なるのですか……？」


死にませんよね、未だ大丈夫ですよね、と問い掛ける諸伏警部が、何時もの頼れる警部とは違い、その背中はとても弱々しいものだった。


反射的に、昨日の怖い目の彼を思い出す。


葵さんを心臓発作で亡くして、更には巴さんまで心臓が原因で倒れてしまうのだ、どんな皮肉だろうか。


真逆彼女が居ないと、弟までもが、自決で心臓に銃を撃ち込んでいたなんて俺は知らない、それが緑川さんだったなんて。


だが、それを知るのは遠くない未来だった。

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