夢に彷徨う 【名探偵コナン】

303 支柱 ページ15

今はもう、鳥の声しか聞こえない静寂の中、電話の着信音が鳴る、当然私の携帯で、彼は私に、出ていいよ、と声を掛けた。


ズボンに付いた土を払う為に立った彼に、ありがとう、と言い、着信表示画面を見ると、江戸川コナンと載っていた。


「何だ、夜遅くに。


もしかして犯人捕まったかな？」


『うん、流石世界一の技術者って呼ばれるだけあるよ』


「…………これで、少しは警戒した？」


『ううん、やっぱりボク、巴さんのこと悪い人とは思えないんだ』


そう言う彼に息が止まった、待ってくれ、彼、探偵だよな？


原作なんて酷いものだ、疑うものは完璧に白と判断されるまで疑う、私の知っているお前はグレー何て許容範囲外だろ。


私は呆れてしまった、前世の妹の様で、笑みが隠せなかった。


「少年らしい答えだね」


そう言うと彼は、えへへー、と笑った。


「如何なっても知らないよ？


私一応犯罪者だろ？」


『大丈夫だよ、巴さんなら。


巴さん、ボクのこと大好きだもんね』


そう言われて静止した、瞬間、自分でも信じられないくらいに、柄にも無く大笑いをしてしまった。


「……物好きなヤツめ」


『そっくりそのまま言い返すよー。


……そういえば巴さんごめんね、こんな夜遅くに』


「大丈夫だよ、起きてたから」


『こんな夜遅くに？』


うん、と応えると、彼は沈黙する。


「今私ね、鏡池に居るんだ」

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