境を跨ぐ 【名探偵コナン】

41 葬式 ページ43

あのカードには、日程表の他にも史軍全メンバーのリストが載ってあることが、多々良の死後、解析班によって判明した。


被害を受けた人は四桁にも及んだ、勿論私はこれが最善だったとは言いたくない。


死んだ、多々良が死んだのだ。


彼は父の携帯に、爆弾を発見、解除するという旨のメールを送信しており、父はそれを確認していなかったので、連絡が取れないことに混乱していたそうだ。


多々良は最後まで優秀だった、彼は最後まで父の同僚であり相棒だった。


これだけ見れば萩原、松田や諸伏の死亡にとても近かった、近かったからこそ、私をとても窮屈にさせた。


降谷は、きっとこういう気持ちだったんだろうな、寂しくて、親しい人間の犠牲がなければいけなかったという不甲斐無さだって、きっと。


こういう気持ちだったんだろう。


私は神様から貰った筈の頭脳を悔いた、極限にまで高性能な、とか言えば、もっと犠牲者は減らせたのかもしれなかったのに。


凄く、凄く悔しかった。


「……巴、お前が泣くな」


「だって、わたしが、殺したのまちがいっ、でしょ、」


「……違う、違うんだ。


史軍以外、誰も悪くないんだ……誰も……」


少なくとも、嗚咽を挙げて泣くくらいには彼を信頼していたし、何よりも悲しかった。


自分の作戦で人を何人も殺してしまったことが、父の大切な人を殺してしまったことが。


前世ではこんな苦しい思いはしなかった、これからも、することなんて一生無いと思っていたのに。


「巴ちゃん、大丈夫です。


私は彼のことを詳しく知りませんが、多々良は貴方に殺されたなんて微塵も思っていませんよ。


寧ろよくやったと思っている筈です」


そうだろうか、彼は未だ、死にたくなかったなんてことを思っているんじゃなかろうか。


私は一人になりたくなり、二人の間を無言で抜け出すと、携帯から着信音がなる、私は父と母、それから諸伏氏の番号しか入れていなかった筈なのに。


耳にあてると、とても意外な人物からの電話だった。

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