また、アシタ (3)

これこらのこと ページ44

side：亜嵐


亜嵐「A」

『ん〜？』

亜嵐「海人寝た？」

『うん、ぐっすり』


亜嵐「話があって」

『何改まって、どしたの(笑)』


ふぅ、と

深呼吸をして話を始めた


亜嵐「今日、病院行ってきた」

『え、どっか悪いの？大丈夫？』

亜嵐「ううん、Aがこの前行った病院。

今朝、そこから電話があって、
旦那さんだけ来てもらえますかって。」

『それって、私のことで？』

亜嵐「うん。」

『なんで、』

亜嵐「この間の検査の結果を伝えるために」


俺が、泣いちゃダメだ

涙をぐっと堪えて話を続けた


亜嵐「A、Aは

悪性リンパ腫だって診断された」


『悪性リンパ腫？･･･悪性って、』

亜嵐「血液の、がん」

『がん･･･』


亜嵐「すぐに治療を始めたら治る病気だって先生は言ってた。」

『そっか、ならよかった。

私頑張るから、絶対治すからね』


無理して笑うA

前向きな言葉でそう言うAに

いちばん残酷な話をしなくちゃいけない


亜嵐「もちろん、俺はAが治るって信じてるし、俺に出来ることはなんだってする。

でもねA、今すぐ治療を始めるには、
赤ちゃん諦めなきゃいけないって。」


こんなこと言いたくない

子供も元気に生まれるし

Aだって治るよって

そう伝えたいのに


『え･･･』

亜嵐「妊娠中は治療ができない。でも今のAにはすぐに治療を受ける必要があって、

そのためにはまず、

赤ちゃんをおろさなくちゃいけない。


俺はAに元気になってもらいたい。

この子に会えないのはすごく辛いけど、

Aが元気になれば

また家族を増やすことはできる。だから、」


『何言ってんの？』

亜嵐「え･･･」

『私産むよ？この子のこと』

亜嵐「何言ってんだよ」

『だってこの子は私たちを選んで私のお腹に来てくれたんだもん』

亜嵐「それじゃあAの命が」

『それでもいい！！』

亜嵐「よくないだろ！！！」


初めてだった

こんなふうに言い合いをしたのは


『じゃあ何！？亜嵐は平気なの？自分の子供殺 して平気なわけ！？』

亜嵐「平気なわけねぇだろ！！」

『だったら』

亜嵐「だけどそれじゃあ意味無いだろ！！」

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