検索窓
今日:7 hit、昨日:29 hit、合計:23,711 hit

不死川実弥(唯梨) ページ30







私を恋という沼に落としたのは、
学園内でも怖いと恐れられている数学の先生だった。


その日は生憎の雨。
所謂お天気雨というのだろう、突然降ってきたそれらに、運悪く傘を持っていなかった私は昇降口で立ち尽くしていた。
優等生という評価を受けていた私は担任に仕事を任され、断れない性格からとっくに下校時間が過ぎている今の今まで校舎に残っていた。
辺りに人気はない、当然だろう。
誰かに相合傘を頼むことも出来ない、かといって傘立てに放置されている誰かのそれを拝借することも出来ない私には走って濡れて帰るというたった一つの選択肢しかなかった。










「何やってんだァ?」

私の耳に届いたのは、いつも数学の時間に聞いている低い声だった。



『不死川先生…、』


正直、苦手だった。
すぐに怒るし、顔も怖い。テストで低い点数を取ったら何を言われるのだろう。未知の恐怖に脅かされた私は毎回、テスト勉強は長い時間を数学に費やした。おかげで彼に目をつけられることはなかったが、存在自体が恐ろしいという認識が根付いてしまい苦手意識が拭われることはなかった。



そんな不死川先生に話しかけられ、『えっと、その…』ともごもごとしかできない。
すると彼は「なるほどなァ、」と小さく呟き私にここで少し待つように指示した。そして、しばらくすると戻ってきたその手には折り畳み傘。



「ほら、持ってねェんだろ?」
『えっ…でも、先生が…』
「俺は車だからなァ。」


気にすんな、と大きな手が頭に乗った。
フッと笑うその姿に、そんな優しい一面があるのかと驚くとの同時に、なんだかむず痒い、だけどどこか苦しいあの感情が私の中で生まれてしまったのもまた事実だった。


ー2→←ー4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (164 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
118人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ユリア(プロフ) - ねぇえええええまって私も聞いてない久々ツク開いたらなんなのこれ何で呼んでくれな(死) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 5f1067fe3a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - みおさん» ありがとうございます💖もう少し更新続きますので楽しんで頂ければ嬉しいです💖感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひの新作通知もずっと待ってる!待ちすぎて舞ってる💃唯梨さんの実弥読めて私も嬉しかったよ!爆速過ぎて吹いたけどね!笑 いつも感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - みんなお祝いコメントありがとうっっっ🥰❤️もう書かねェ…!って思ってたけどみんなのおかげで創作意欲が湧きました!今後ともよろおねでっすー💁🏻‍♀️❤️❤️ (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 奏海さん» かなみちゃんありがとうね🥰❤️色々落ち着いて戻ってきちゃった🧡🧡🧡🧡 (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:京華/唯梨/羽糸/ひよ/あさひ x他4人 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年9月21日 11時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。