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目の前のアクセサリーケースに垂れる2つの水色を指でつつく。ゆらゆらと揺れる雫のモチーフの曲面に小さく映ったのは、遠く青い思い出。雫を揺らすその手の薬指には、華奢なシルバーリング。
自分の気持ちを確かめる答え合わせのような期間は、思いの外平穏に長く続いたのだった。



───今度は、俺からの一生のお願い。



今でも覚えている。
冗談めいた本気のプロポーズ。

彼らしくて笑っちゃって、ムッとされたなあ。




「…ここにいたのか」
『うん。小物整理してたら見つけて。これ、懐かしいでしょ』


念願のマイホームへの引越しを目前に、身辺整理と称して懐かしの品で思い出に浸る私と、着々と荷造りを開始している義勇。全く進んでいない私を咎めることもなく、手渡したピアスに陽の光を透かすように眺めた。


「まだ、持ってたんだな」
『大切に持ってるよ』
「……そうか」


漫ろな返事だが、顔は嬉しそう。
言葉にしてくれなくとも、今なら分かる。


『ね、つけてよ。あの時みたいに』


そう言って髪を耳に掛けると、義勇はそっと私の頭の高さまで屈んだ。優しい手つきでピアスをつけ終えると、ふわりとその優しさが肩を抱いた。

振り向けば、触れるようなキス。
初めて交わした時と同じ。


『…ん、もう1回』
「言われなくても…」


柔らかに押し当てるように隙間を塞ぐキスは、角度を変える度に深さを極めて。2人だけの静けさに浸る幸せを感じた。


「照れ臭いな、昔を思い出して…」
『初めてこれをつけてくれた日と一緒だなって?』
「…あぁ」


きっと、この先もずっと思い出す。
互いをよく知る前に始まったすべてを。
そしてその時はいつも思うのだ。








『今が1番幸せだよ』







羽糸

不死川実弥(唯梨)→←ー3



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設定タグ:鬼滅の刃 , 不死川実弥 , 短編集   
作品ジャンル:恋愛
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ユリア(プロフ) - ねぇえええええまって私も聞いてない久々ツク開いたらなんなのこれ何で呼んでくれな(死) (2022年11月1日 22時) (レス) id: 5f1067fe3a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - みおさん» ありがとうございます💖もう少し更新続きますので楽しんで頂ければ嬉しいです💖感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - あさひゆうひさん» あさひの新作通知もずっと待ってる!待ちすぎて舞ってる💃唯梨さんの実弥読めて私も嬉しかったよ!爆速過ぎて吹いたけどね!笑 いつも感謝ァ! (2022年9月25日 20時) (レス) id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - みんなお祝いコメントありがとうっっっ🥰❤️もう書かねェ…!って思ってたけどみんなのおかげで創作意欲が湧きました!今後ともよろおねでっすー💁🏻‍♀️❤️❤️ (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 奏海さん» かなみちゃんありがとうね🥰❤️色々落ち着いて戻ってきちゃった🧡🧡🧡🧡 (2022年9月25日 18時) (レス) id: e4ce53ad81 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:京華/唯梨/羽糸/ひよ/あさひ x他4人 | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2022年9月21日 11時

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