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「……行ってくる」
「うん!ちゃんと仲直りするんだよ?」
「……うん」
カレーのタッパーを握りしめながら、
ゆっくりだけど確かな足取りで歩いていく真澄の背中を
私は真澄が見えなくなるまでずっと眺めていた。
「ふぅ…」
少し息を吐いて、時計を見る。
「!!?うぇ!?もうこんな時間!?」
時刻は夜中の1時。
やらかしたぁぁああああ!!
ていうか、真澄今から帰って大丈夫かな…?
「……至さんに後で連絡しとこ」
そう呟きながら、
タタッと自分の家の玄関に戻る。
その時、フッと鼻を掠めたカレーの香り。
チクッ
その匂いに少し胸が痛む。
「やっぱり、今すぐは無理かぁ」
はは、と力なく笑いながら立ち止まった。
プルルルルルルルッ♪
っ!
電話!
「はい!Aです!」
電話に出ると、
『あ、A…っ』
焦ったような至さんの声。
「至さん!」
『真澄、どうだった?』
「今、説得してきましたよ!
もうすぐ劇団に来ると思います!」
『そっか、よかった…ありがとう』
「いえいえ!!
真澄の保護者みたいなもんなんで!!」
アハハッて笑う。
すると、至さんが少し穏やかな声音で口を開いた。
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『…A、お疲れ様。
頑張ったね。…偉い偉い』
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「いたる…さん」
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今、そんな優しい声を聞いたら…
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「私っ……っ……ちゃんと…っ、背中押せました…かねっ……っひっ…く」
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涙が止まらない。
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『うん』
至さんの声が余計に私を切なくする。
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今日は
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今日だけは
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優しい至さんの声に
身をゆだねて___
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「真澄…大好きだよ」
___FIN.
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じゅんたん(プロフ) - こんばんは、初めまして。真澄推しのものです。けど今作に関しては真澄〜行くな〜等と思ってしまいました。切なくて至さんが優しくて(声優さんも素敵ですよね)勝手に想像しちゃいました。つづるんも楽しみにしています。 (2017年11月13日 2時) (レス) id: 031f9dff0c (このIDを非表示/違反報告)
春櫻(プロフ) - うあああああ。゚(゚´Д`゚)゚。目から汗が……(・_・、) (2017年11月11日 19時) (レス) id: a4b183ce82 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷんぺ ∂(プロフ) - なちゅ。さん» コメントありがとうございます!!更新頑張ります! (2017年11月9日 19時) (レス) id: 1dd4cba745 (このIDを非表示/違反報告)
なちゅ。(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。このお話ほんっっとに切ない!夢主ちゃん辛い( ; ; )更新楽しみにしてます! (2017年11月9日 1時) (レス) id: 7e18e4ca48 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷんぺ ∂(プロフ) - 実渕 魔理沙さん» コメントありがとうございます!!そうなんですか!ぜひ見させていただきます(,,・ω・,,)更新頑張ります! (2017年10月7日 17時) (レス) id: 1dd4cba745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなみ | 作成日時:2017年9月23日 11時