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「……A、俺監督と付き合うことになった」
「え…?」
ドサッと手から落ちた制カバン。
ザアアアッと強く降る雨が、
傘も何もさしていない2人の体を濡らしていく。
「Aが応援してくれたおかげ」
そう言って、笑う彼の顔が雨でぼやける。
違う。
これは、、、、、、涙?
「……まっ…て……」
「バイバイ」
「待って……」
「今まで、ありがとう」
「 待って!! 」
遠ざかる後ろ姿。
腕を掴もうと伸ばした手は、虚しく空を切った。
ザアアアッ…
彼のいなくなった地面に降り注ぐ雨。
遠くなった背中を追いかけるように
駆けてきたのは私の知らない女の人。
綺麗な茶髪のその人は、
自分がさしている黄色の傘とは別の、
持っていた紫色の傘を彼に渡した。
これ以上見たくないのに目が離せなくて……。
2人仲良く傘をさして去っていく。
しばらく経った後、
立ち止まる2人。
体の向きがお互いに向いて
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___黄色と紫の傘が重なった。
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「…………っ!」
胸が凄い力で掴まれたように苦しい。
喉奥からズクンと湧き上がる痛みに、
私はたまらず走り出した。
「っ………っ…はぁ…っ…」
ザアアアッ…
雨が降る。
「…はぁ…っ……っ…はぁ…っ」
息があがる。
ギュッと強く目をつむれば、
脳内にチラつく黄色と紫色。
「っ…や…っ……っはぁ…っ…」
頭が混乱してただ走ることしかできない私の手に
ひんやりとした感触が伝わった。
「…っはぁ…っ…な、に?」
肩で息をしながら足を止めた。
すると、今度は頬に冷たい感触。
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この温度…知ってる…。
そう呟いて、私は目を開けた。
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「………真澄…」
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少しぼやけた視界が段々クリアになっていく。
見慣れた自分の部屋の天井。
そして、
「……具合どう?」
私の頬に手を置いた真澄の姿があった。
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じゅんたん(プロフ) - こんばんは、初めまして。真澄推しのものです。けど今作に関しては真澄〜行くな〜等と思ってしまいました。切なくて至さんが優しくて(声優さんも素敵ですよね)勝手に想像しちゃいました。つづるんも楽しみにしています。 (2017年11月13日 2時) (レス) id: 031f9dff0c (このIDを非表示/違反報告)
春櫻(プロフ) - うあああああ。゚(゚´Д`゚)゚。目から汗が……(・_・、) (2017年11月11日 19時) (レス) id: a4b183ce82 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷんぺ ∂(プロフ) - なちゅ。さん» コメントありがとうございます!!更新頑張ります! (2017年11月9日 19時) (レス) id: 1dd4cba745 (このIDを非表示/違反報告)
なちゅ。(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。このお話ほんっっとに切ない!夢主ちゃん辛い( ; ; )更新楽しみにしてます! (2017年11月9日 1時) (レス) id: 7e18e4ca48 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷんぺ ∂(プロフ) - 実渕 魔理沙さん» コメントありがとうございます!!そうなんですか!ぜひ見させていただきます(,,・ω・,,)更新頑張ります! (2017年10月7日 17時) (レス) id: 1dd4cba745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなみ | 作成日時:2017年9月23日 11時