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「着いたよ」
キュッと車が私の家の前に止まる。
車を走らせてる間、
ただ黙りこくる私に
至さんは何も言わずにいてくれた。
「…ありがとう…ございました」
俯いたまま車を出ようとする。
「あのさ、」
パシッ
すると、手首を掴まれた。
「…、」
ふっと顔を見上げると、
優しく笑って至さんが言った。
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「話、聞くよ?」
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「っ……」
私は至さんの笑顔に弱い。
私が悩んでる時は、
いつも優しく話を聞いてくれる。
至さんに話したら、
少しは気持ちが楽になるかな…。
そう思って、私は口を開いた。
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「……ま、真澄が……昨日から劇団に…入ったんです」
「うん」
「いきなりで…頭の整理つかなくて…」
「うん」
だんだんと視線が下を向く。
「そしたら、真澄…寮に入るから…もう帰ってこないって……っ」
「……うん」
「それで…っそれで…」
「……」
「きょ、今日、一緒にお昼食べたとき…」
至さんのスーツの袖を力なく掴んだ。
「うん…」
「…っいきなり…真澄…す、……っ…好きな人…で、出来たって……っっ」
そういった途端、
至さんの前では抑えてた涙がこぼれ落ちる。
「……………」
真澄の幸せそうな顔を思い出す。
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監督さんの…ことを思い出して…
嬉しそうな…真澄。
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「ず、ずっと…っ…一緒だと…思ってた…っ…」
「……」
次々とこぼれ落ちる涙を、
至さんは黙って拭ってくれる。
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「…わ、っ、私が…真澄を好き…みたいに…っ真澄も…っ…私のこと…って…どこかで……期待……して……っ」
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そう。
心のどこかでそんなこと思ってた。
そうだったら、いいなって思ってた。
「…うん」
「いや…だ…っひく……真澄……ます、みぃ……いやだ……いか…ないで…っ…遠くに…行かないで……っ」
今日1人で帰って、
嫌って言うほど実感した。
真澄とはもう一緒に帰れないこと。
当たり前のように過ごしてた毎日が、
もう来ないってこと。
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「…私の…ほうが……っ…ずっと…真澄…っの…こと……っ…」
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___好きだったのに。
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じゅんたん(プロフ) - こんばんは、初めまして。真澄推しのものです。けど今作に関しては真澄〜行くな〜等と思ってしまいました。切なくて至さんが優しくて(声優さんも素敵ですよね)勝手に想像しちゃいました。つづるんも楽しみにしています。 (2017年11月13日 2時) (レス) id: 031f9dff0c (このIDを非表示/違反報告)
春櫻(プロフ) - うあああああ。゚(゚´Д`゚)゚。目から汗が……(・_・、) (2017年11月11日 19時) (レス) id: a4b183ce82 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷんぺ ∂(プロフ) - なちゅ。さん» コメントありがとうございます!!更新頑張ります! (2017年11月9日 19時) (レス) id: 1dd4cba745 (このIDを非表示/違反報告)
なちゅ。(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。このお話ほんっっとに切ない!夢主ちゃん辛い( ; ; )更新楽しみにしてます! (2017年11月9日 1時) (レス) id: 7e18e4ca48 (このIDを非表示/違反報告)
ぽっぷんぺ ∂(プロフ) - 実渕 魔理沙さん» コメントありがとうございます!!そうなんですか!ぜひ見させていただきます(,,・ω・,,)更新頑張ります! (2017年10月7日 17時) (レス) id: 1dd4cba745 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:もなみ | 作成日時:2017年9月23日 11時