泡沫の恋を君と2【佐野玲於】

二つの鞄 ページ41

玲於｢またあした｣









最後の明日は直ぐに来て、悲しいはずなのに何故だか不思議と悲しさがないって言うか、なんというか









帰りたくないってのは変わらないけど、佳奈ちゃんが言ってくれた言葉が私のずっとモヤモヤしていた何かを無くしてくれた








だから今はすごく気持ちがスッキリしていて、それに佳奈ちゃんともちゃんと話せて良かったって思ってる。これも玲於くんのおかげ







貴｢うん、またあした。｣








離れても玲於くんが心の中にいてくれる感じがするの。だから、今日の夜が終わるのは怖くないよ









玲於｢おやすみ｣









貴｢おやすみなさい。｣









一瞬だけ絡められた右手、暖かくて胸が苦しくなった 、でも夜はやっぱり苦手だ 。









・








貴｢これは持って帰ろう..｣








家に帰ってご飯食べてお風呂入って、パジャマに着替えて大きなカバンに荷物達を入れてゆく









貴｢楽しかったなあ｣







荷物と共に思い出も心の鞄の中にしまう、海や川に連れて行ってくれたり、綺麗な夜景を見してくれたり








出会いは最悪で失礼な人って思ってたのに、でも気づいたら好きな人に変わってて、ほんと私の知らない事は








きっと神様が与えてくれた出会いなのかな、なんてロマンチックなことを考える。だってもう偶然なんかじゃない気がするんだもん







貴｢よしっ、終わり。｣








荷物も入れ終えてほんとに終わり、もう夏休みが終わる、あとは帰るだけこれでもう、会えなくなる








でもきっと、玲於くんは迎えに来てくれるよね、少しは期待したっていいよね








自分に自信がなくて、素直になれない私は佳奈ちゃんに助けられたんだよ、自分の為に恋愛してもいいんだよって言ってくれた。その言葉が私には嬉しくて自信になったの









玲於くんを心から好きになっていいんだって。









貴｢明日は、泣かないよ、笑うんだ｣








鏡に向かって笑顔の練習、だって最後が涙で終わるなんてそんなの悲しいでしょ？だから私明日は絶対に泣かないよ








笑顔で玲於くんにまたねって言う。さよならじゃないよ、またねって、だってさよならだったらもう会えないから







貴｢おやすみなさい｣








電気を消してベッドに入って夢の中、短くて長いような夏休みが明日、遂に終わりを告げる 。

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