7 - 4 犠牲 ページ5
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とある家のインターフォンを押す。
スマホ片手に立っていると、か細い少女の声。
『…はい』
「夢ノ咲学院2年、朔間凛月っていいます
おう…、レオくん、いますか」
使い慣れない敬語はハキハキと出てこない。
同じく少女も、あまり見たことない男にぎくしゃくとしていた。
「…お兄ちゃんと一緒の学校の人、ですか」
目元がそっくりで、仕草もやや似ているところがある。
”繰り返し”も含め、少女と会った事は片手で数えるほどしかないが。
「るかちゃん、だよね
ごめんね
俺、瀬名泉とか、有里Aの友達なの
今日、届け物頼まれちゃって」
家の中を覗くと、そこは暗い。
夏の午後6時台はまだ明るいはずだが、家の中は妙に暗かった。
「中、いい？」
そう問うと、少女はただ頷く。
Aや泉はここにしょっちゅう来ているのかと思うと、何だか複雑な感情を抱く。
「王さま、入るよぉ」
案外あっさりと、若干緊張したわりにすんなり手は自動的に扉を開けた。
振り向かない後ろ姿に、声をかける。
「やっぱりメール見てないかぁ
凛月だよぉ、久しぶり、王さま」
Aは、泉は、こんなレオと話して正気だったんだろうか。
そんなことばかり考える。
何も言わないレオに、わざと真ん前に回り込み、座る。
揺れた瞳は尚、床に散らばった楽譜を捉えていた。
「…ねえ、王さま
次、俺達ライブやるんだけど
花火大会の日、Aのプロデュースで」
鞄から取り出した紙を、叩きつけるように置く。
オレンジの髪がびくんと揺れた。
「来て、少しでいいから」
「………いやだ」
すぐ、オレンジの頭は横に振れる。
「少しでいいから
ライブ終わってからでもいい」
睨むような目だったかもしれない。
とにかく、機会は1度しかないと思った。
「俺達を見に来て
あんたのKnightsを」
チラシが、静かな部屋に回った扇風機の風で揺らぐのを、近くにあったペンケースでまた叩き付ける。
「……むりだ」
「ならせめて」
食い込むように、絞り出すように。
「…頼むから、Aに会ってあげて」
この小さな努力が、祈りが。
どうか、一輪の大華となりますように。
「このままじゃ
壊れちゃうのはあんたじゃなくて、俺達なんだよ」
俺達はもう、見殺しにしてるんだ。
何度も、何度も。
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まひる(プロフ) - 雪羅さん» ありがとうございます…！！妄想のままに描いているので賛否両論あると思いますが…(^-^; そういっていただけると嬉しいですー！(*´ω｀)ありがとうございます(*’ｰ’*)ﾉ (2019年10月13日 11時) (
レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
雪羅(プロフ) - 前からこの作品見続けています！繊細で綺麗な表現とか、儚い世界観とか、謎の多いキャラクターとか、すごく作り込まれていてまるでドラマを見ているようでした！これからも頑張ってください！ (2019年10月13日 9時) (レス) id: 227c03626a (このIDを非表示/違反報告)
まひる(プロフ) - ありまさん» ありがとうございます…！そういったコメント頂けると、嬉しいです(*^-^*) (2019年10月9日 22時) (レス) id: f98a768e19 (このIDを非表示/違反報告)
ありま(プロフ) - この作品の雰囲気がとても好きです。 (2019年10月9日 21時) (レス) id: ef20a5c3d2 (このIDを非表示/違反報告)
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