【刀剣乱舞】ﾁｬｱと鳴く鶯に成ったと思ったら女だったんですけど【勘違い】 (ページ18)

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十六話ページ18

A視点

あれから数時間、俺はあの後ぐっすり眠ってしまい、気が付けば傍には誰も居なかった。

はてと首を傾げると枕元にメモが置いてあり、筆で描いたであろうとても達筆な字で『夕餉に行って来る。直ぐ戻るから目が覚めたなら安静にして居ろ』と書かれていた。

夕餉ってなんだ？トイレはかわや？だったよな？あっでも何か聞いた事あるぞ………夕食、みたいな意味だったっけ………？

俺は首を傾げるが、まぁ如何でも良いかと思考を断ち切る。

因みに俺が何故このメモの達筆な字がなぜ読めたかというのは、多分俺が今鶯丸だからだろう。

今、俺には大分偏っている、と云うか中途半端に鶯丸としての知識がある。

まぁ殆ど茶に関しての記憶だが、こんな感じで役に立つ知識も偶にある。

刀や戦闘に関しては全くの素人の俺が時間遡行軍に太刀打ちできたのも、多分鶯丸の知識だろう。

それに関しては本当に感謝しかない。あれが無かったら俺はとっくに死んでいただろう。

そんな風に俺が寝起きの頭で色々考えていると、襖が開く。

ちらりと其方を見れば、短刀詐欺やイケショタと名高い薬研藤四郎が立っていた。

顔も中身もイケメンである。中身とかもう本当にイケメンだ。ただのイケメンだ。外見年齢まだ子供の癖に！

俺の気持ちも知らず、豪快に笑う薬研は手に持った盆を差し出して来た。

盆の上には粥の入った一人用の鍋があり、ポットに入った水と湯呑み入りの水、処方箋も置いてあった。

「よぉ、具合はどうだ？」

『良好だぞ。何処も痛まないのは久々だ』

「ッ、ああ…………そうか…………

………俺っちがその傷について何処まで力になれるか分からんが、まぁ困った事が有ったら言ってくれや。全く役に立たないって事は無い筈だぜ？」

何故俺と話すとどいつもこいつも悲しそうな顔をするのだろうか。

何？どこも痛まない云々の事か？お前ら何時も大けがしてるだろ？？これ軽いジョークだろ？

じゃあ何処で悲しそうな顔してんの？もう無理イケメンの考える事訳分かんない(偏見)

俺は内心毒づくが、そんな事を知りもしないイケショタは丁寧に処方箋についての説明をしてくれる。

こいつが良いヤツ過ぎて俺の心が痛い。でもイケメンだ。

「この橙色の錠剤が傷の痛み止め、白いのが化膿止めだ。

化膿止めは一応毎食後に飲んでくれ。二錠ずつ、一週間分ある」

『ああ、ありがとう』

薬研ニキマジイケメン、俺の天敵。脳髄に刻み付けた。