【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。

悩みが五つ ページ7

A視点




私がその事に気付いてＳＡＮ値をゴリッと削っている内にも森さんと弟の話は進む。




「大人しく良い子にしてたら、その内楽に死ねる薬の調合方法を教えてあげよう。」



「嘘！そう言って僕達をこき使って、一年前にあれだけ大変な思いをさせといて、結局教えてくれないじゃないか！こうなったら裏切って裏組織についてやる！」



「適当な思い付きを喋るのはやめなさい、いい子だから。裏切ったりしたら楽に死ねなくなるよ。

ほら、A君も何か言ってやってくれないかい？そうやって本を読んで無視を決め込んでないで」



「あっ、そこで姉さんを出さないでよ！ずるい！」




現実逃避の為に本に視線を落としていたが、森さんに声を掛けられそれもあっけなく終わる。

………いや、うん、でも、まだ私がこの話に本格的に巻き込まれたり、アラハバキに吹き飛ばされるって決まった訳じゃないし………




そうやって私が遠い目をしていると、弟は仙人のように悟った顔で、足をぶらぶらさせながら言う。




「ああ………退屈だなあ。この世界はなんて詰まんないんだろう。

ねぇ、姉さん。姉さんはこの退屈からどうやって脱したの？」



『姉さんはね、そもそも退屈した事がないよ。』



「えぇ？僕より頭が良いのに？」




信じられない、と書いてある顔をして言う弟に、誤魔化すようににっこりと微笑む。




まぁ確かに転生してから地頭は多分太宰さんよりも良くなったけど性格このままだからね！

それに、今の私には私には愉快な()弟とデンジャラスな現実の所為で退屈する暇もないし。

悩みが六つ→←悩みが四つ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す