【文スト】転生以下略したら太宰治の姉でした。

悩みが十六 ページ18

A視点




目頭を指で押さえながら、溜息を吐かないように口を閉じて眩暈をやり過ごす。

この二人の引率なんて無理に決まってんだろ………うわぁおうち帰って本読みたい………




『………中原君。追うべきは先代の噂では無く、アラハバキ本体の噂なんです。』




そう言って手を目頭から離して、また歩き始める。二人も其れに付いて来てくれた。




『蘇った先代が異能による偽装だとしたら、異能者本人がアラハバキを演じている事になります。

どんなに完璧な犯人であろうとも、人間である限り、呼吸し食事し生活するのですから、そちらを追うんです。』



「だが………アラハバキの噂なら、羊の仲間が散々調べてるぜ」



「幾ら羊の噂好きさん達でも、話を聞けない相手ってのは居るものだよ」




そこから私の言葉を弟が継いで話してくれたので、私は無言で歩くのに徹する。

いや、私の言葉って言うか原作小説では元々太宰さんの台詞だったけども。




そんな事を考えていると、轟音が響き渡り、「はぁ！？」というちゅやさんの驚きの声が響いた。

うん全く持って原作通り。安心。




「………あー、今のは爆発の音だね。」




弟がどこか遠い目をして言う。先を越された、面倒くさい、とか色々思っているのだろう。

悩みが十七→←悩みが十五

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す