11 : 言い訳 ページ12
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コンクールで優勝。
それはきっと、コンクールに参加する奴ら万人の共通の願いであり目標である筈だ。そしてそれは、寧彩 Aもまた然り。
ほかの物事には全くと言っていいほど執着を見せない寧彩が唯一拘るのはいつだってピアノだった。
きっと、俺はその執着に恋焦がれた。
アイツの執着が、ピアノじゃなく、俺に向けばいい。
一番は俺であるべきだ。
今まで、俺はどんな事だってトップであろうとしてきた。俺よりピアノを優先させるなんて、そんな事俺のプライドが許さねえ。
なんて、きっと只の言い訳なんだと。
分かっていながら、知らないふりをしたんだ。
▽
｢はぁ、緊張する……｣
｢そんな感じしねえぞ｣
コンクール前日。
切島たちを置いて教室を出てきたあと、俺はまた音楽室に足を運んでいた。
寧彩はぐでーっとピアノの傍にある椅子の背もたれに体を預けて泣き言をつらつらと述べていた。
｢練習しねえのかよ｣
｢前日って謎の余裕生まれてくるんだよね。テストもそうだけど｣
｢何言ってんだお前｣
口では巫山戯た事を言っているが、きっとそわそわしてしまって練習どころじゃねえんだろう。
一人でクールダウンする時間も必要なんじゃないだろうか。
唐突にそんな考えがよぎった俺は徐に腰を浮かせた。
そんな俺を見て寧彩が不思議そうに首を傾げる。俺はそんな寧彩を見ないまま口だけを動かした。
｢帰る。じゃあな｣
明日な、とは言わない。
もう、ここに来るのも今日が最後だ。
寧彩との出会いから今日に至るまでの日々が走馬灯の様に蘇る。
ああ、どのシーンを取っても思い出すのは、寧彩。
お前の笑顔なんだよ。
情けない自分に自嘲気味に笑を零して音楽室の扉に手を掛けると、袖をくいっと引っ張られた。
不審に思って袖を見る。勿論そこには寧彩がいて。
｢私も一緒に帰る｣
なんてあどけない顔で言うから。
ああ、なんでそんなことすんだよ。
お前といるの苦しくなるんだよ。ふざけんなよ。
それなのに、
｢っ…あぁ｣
こんなにも、お前も求める俺がいるから。
・
続く (更新停止中)
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りこ(プロフ) - 、さん» 外し忘れておりました。大変申し訳ございません。 (2018年2月14日 8時) (
レス) id: 40f7ee34c3 (このIDを非表示/違反報告)
、 - オリジナルフラグ外して下さい (2018年2月14日 1時) (レス) id: 6903784267 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：りこ | 作成日時：2018年2月14日 1時
